2026年11月4日時点の制度に基づいています。
日本で金銭の貸付けを業として行うには、貸金業法に基づく登録が必要です。主な要件は、純資産額5,000万円以上、貸金業務取扱主任者の設置、貸付け業務の経験を持つ常勤役員がいることです。登録は3年ごとの更新制です。
貸金業登録が必要になるのはどんなときか
貸金業を営むには、国(財務局長)または都道府県知事の登録を受ける必要があります。お金を貸す事業を日本で行うなら、まずこの登録が必要かどうかを確認します。
外国企業の場合、次のような事業を考えるときに論点になります。
- 日本の個人や企業に対する融資事業を始める
- フィンテックやレンディングのサービスを日本で提供する
- 顧客への貸付けを事業の一部に組み込む
貸付けの形や相手によっては、登録の要否が分かれる場合があります。事業モデルごとに判断が異なるため、計画の段階で登録先の窓口や専門家に確認することが大切です。
なお、銀行・信託会社の免許や、資金移動業・暗号資産交換業など他の金融ライセンスとは、根拠法も所管も異なります。全体像は日本の金融ライセンスの種類と登録の流れで整理しています。
貸金業登録の主な要件
日本貸金業協会や自治体が公表している案内では、登録に関わる主な要件は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 財産的基礎 | 純資産額5,000万円以上。貸金業を営む期間中、この額を下回らないこと |
| 貸金業務取扱主任者 | 国家資格。常勤の者を置く。営業所または事務所で貸金業に従事する者の50人に1人以上の人数が必要 |
| 業務経験(法人) | 常務に従事する役員に、貸付け業務に3年以上従事した経験を持つ者がいること |
| 営業所の経験者 | 各営業所に、貸付け業務に1年以上従事した経験のある者がいること |
上の表は主な要件です。このほか、法令で定められた登録拒否事由に該当しないことが求められます。最新の取扱いや細かな基準は、登録先の財務局や都道府県の手引きで必ず確認してください。
純資産額5,000万円は「資本金」とは別の基準です
要件は資本金ではなく、純資産額です。純資産は、資産の合計から負債の合計を引いた額です。設立時の資本金を決めるときは、この基準も踏まえます。資本金の考え方は資本金はいくらにするかを参考にしてください。
登録先の手引きでは、直近の財産調書や貸借対照表で純資産額を示すとされています。資産と負債の裏づけとして、残高証明書などの添付が求められる例があります。
業務経験は役員の経歴で見られます
法人の場合は、常務に従事する役員の中に、貸付け業務を3年以上経験した人が必要です。海外での経験がどう評価されるかは、個別の確認が必要です。経歴を裏づける資料は、早めに集めておきます。
貸金業務取扱主任者は国家資格です
主任者は常勤であることが条件です。経営者本人である必要はなく、有資格者を採用する方法もあります。試験や登録の最新の案内は、日本貸金業協会の案内で確認してください。
どこに登録するのか|知事登録と財務局長登録
登録先は、営業所の置き方で決まります。
- 営業所が1つの都道府県内だけ:その都道府県知事の登録
- 営業所が複数の都道府県にある:財務局長の登録
最初は東京に1拠点だけ置き、後から大阪に営業所を増やす、という場合は登録先が変わります。拠点計画は先に決めておくと手戻りが減ります。
登録申請の流れと費用
手続きの流れ
- 事業モデルを整理し、登録が必要か確認する
- 事業主体となる法人を用意し、定款の事業目的に貸金業を含める
- 純資産額5,000万円以上を準備する
- 主任者と、経験を持つ役員を確保する
- 登録先の手引きを入手し、必要書類を確認する
- 登録申請書と添付書類を、登録先に提出する
定款の目的の書き方は、定款の事業目的の書き方で解説しています。目的に含まれていないと、登録の前に変更登記が必要になる場合があります。
必要書類は登録先の手引きで確認します
登録申請書のほか、各種の添付書類が必要です。様式や部数は、登録先ごとに手引きで定められています。東京都、神奈川県、兵庫県など、多くの自治体が手引きを公開しています。
外国語の資料には、日本語訳が求められる場合があります。海外の資料の扱いは、事前に登録先へ確認しておきます。
申請手数料
登録申請手数料は15万円です。新規登録でも更新登録でも同額と案内されています。東京都や兵庫県の手引きは、登録が拒否された場合や申請を取り下げた場合も返還されないとしています。
納付方法は登録先で異なります。収入証紙、現金、電子納付などの例があります。書類の準備や専門家への報酬は別に考えます。
登録が必要かどうかの整理の仕方
「貸付け」と一口に言っても、事業の形はさまざまです。登録の要否は、次の観点で整理すると進めやすくなります。
- 誰が、誰に、どのような条件でお金を貸すのか
- 貸付けを業として、反復継続して行うのか
- 利息や手数料を受け取るのか
- グループ内の資金融通にとどまるのか、外部の顧客が対象か
- 貸付けの媒介だけを行うのか
整理した内容は、登録先の窓口に事前相談する際の材料になります。自己判断で進めず、事前に専門家や登録行政庁に確認することを勧めます。
準備期間の考え方
登録までの時間は、事業計画の固まり具合で大きく変わります。特に時間がかかりやすいのは、次の3点です。
- 主任者の確保(国家資格の保有者が前提です)
- 純資産額の準備(出資と送金の手配が必要です)
- 経験を持つ役員の確保と、経歴資料の整理
審査期間は登録先によって異なります。申請前に、登録先の窓口へ事前相談ができるか確認しておくと安心です。
登録後に注意すること
3年ごとの更新
登録の有効期間は3年です。引き続き営業するには更新が必要で、有効期間満了の2か月前までに申請します。東京都の手引きは、満了日の5か月前から2か月前までに手続きするよう案内しています。余裕を持って準備します。
純資産額の維持
5,000万円の基準は、登録時だけでなく、営業を続ける間も求められます。赤字が続く場合は、増資などの対応を事前に検討します。
登録前に貸付けを始めない
登録を受ける前に、貸付けを業として始めることは避けます。違反した場合の扱いは、貸金業法の規定に従います。具体的な内容は、専門家か登録先に確認してください。
外国企業が事前に確認したいポイント
- 日本国内にどのような営業所を置き、どの法人形態で行うか
- 営業所を複数の都道府県に置く予定があるか(登録先に関わります)
- 純資産5,000万円の出資と、海外からの送金の準備
- 主任者を誰が務めるか
- 役員の経験が要件に合うか
日本法人の設立と出資の手続きは、通常の会社設立と同じです。貸金業は、設立後に登録を受けて初めて開始できる点が違います。
海外の親会社や投資家から資金を入れる場合は、出資の時期と金額を、申請のスケジュールに合わせて決めます。純資産額は申請時に財産に関する書類で示します。出資の記録や残高の資料を整えておくことが重要です。
最新情報の確かめ方
貸金業の登録は、登録先ごとに手引きや様式が整備されています。内容は改訂される場合があります。申請前に、次の点を確認してください。
- 登録先(財務局または都道府県)の最新の手引きの改訂日
- 必要書類と提出部数、納付方法
- 事前相談の窓口と受付方法
- 日本貸金業協会の入会案内と費用
TIMOAにできること
貸金業登録は、法人設立から体制づくり、申請までを順に進める必要があります。TIMOAは、日本進出の全体設計、日本法人の設立準備、必要書類の整理を支援します。登録申請書類の作成など、法令上専門家が扱う業務は、提携する専門家が担当します。
許認可全般の支援は、許認可・金融ライセンスのサービスページをご覧ください。
よくある質問
貸金業の登録に必要な純資産額はいくらですか?
純資産額5,000万円以上が必要です。登録時だけでなく、貸金業を営む期間中もこの額を下回らないことが求められます。
貸金業の登録申請手数料はいくらですか?
新規登録も更新登録も、申請手数料は15万円と案内されています。登録が拒否された場合や申請を取り下げた場合も返還されません。専門家への報酬や書類準備の費用は別にかかります。
貸金業の登録は何年ごとに更新しますか?
有効期間は3年です。引き続き営業するには更新が必要で、有効期間満了の2か月前までに申請します。東京都の手引きでは、満了日の5か月前から2か月前までに手続きするよう案内されています。
貸金業務取扱主任者は経営者本人でなければいけませんか?
経営者本人である必要はありません。国家資格である主任者を、常勤の者として営業所に置きます。営業所で貸金業に従事する者の50人に1人以上の人数が必要です。
営業所が複数の都道府県にある場合の登録先はどこですか?
複数の都道府県に営業所や事務所を置く場合は、財務局長の登録が必要です。1つの都道府県内だけに置く場合は、その都道府県知事の登録です。
参考・出典
- 貸金業を始めるには(日本貸金業協会) www.j-fsa.or.jp
- 貸金業登録について(秋田県) www.pref.akita.lg.jp
- 貸金業登録申請(新規・更新)手続きの手引き(神奈川県) www.pref.kanagawa.jp
- 貸金業登録申請等に関する手引き(兵庫県) web.pref.hyogo.lg.jp
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