2026年10月1日時点の制度に基づいています。
飲食店を開くには、店舗を管轄する保健所で「飲食店営業」の許可を受けます。内装工事の前に図面で事前相談し、完成前に申請して、施設検査に合格すると許可が出ます。食品衛生責任者の設置とHACCPに沿った衛生管理も必要です。経営者の国籍による制限はありません。
飲食店営業許可が必要になる場合
食品衛生法により、食品を調理して客に提供する営業には、飲食店営業の許可が必要です。レストラン、カフェ、居酒屋、バー、テイクアウト中心の店などが対象です。
2021年6月1日施行の改正で、許可が必要な業種が再編されました。以前の喫茶店営業は飲食店営業にまとめられています。同時に、許可が不要な一部の業種には営業届出の制度ができ、原則としてすべての食品事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務づけられました。
- 許可は店舗(施設)ごとに必要です。2店舗目を出すときも、その店舗で許可を受けます。
- キッチンカーで営業する場合は、その車両について別に許可を受けます。
- 店で作った菓子やパンを、店内での提供とは別に販売・卸売する場合は、菓子製造業など別の許可が必要になることがあります。
飲食店営業許可の取り方:申請の流れ
- 物件の確認と事前相談:店舗の平面図や設備の配置図を持って保健所に相談します。内装工事の前に行うのが基本です。
- 食品衛生責任者の確保:店舗ごとに1人を決めます。資格がなければ養成講習会を受講します。
- 許可申請:工事の完成予定日より前に、申請書と添付書類を提出し、手数料を納めます。窓口のほか、国の食品衛生申請等システムからも申請できます。
- 施設検査:保健所の職員が店舗で、図面どおりか、施設基準に合っているかを確認します。不備があれば改善後に再確認となります。
- 許可と営業開始:許可が出てから営業を始めます。許可証は店内の見やすい場所に掲示します。
申請の時期や、許可証の交付までの日数は保健所によって異なります。施設の完成前に申請し、完成後に検査を受けるのが一般的な流れです。申請の目安の時期は保健所の案内で確認し、開店日から逆算して日程を組みます。
主な必要書類
| 書類 | 内容・注意点 |
|---|---|
| 営業許可申請書 | 営業者、施設の所在地、業種などを記載します。 |
| 施設の図面 | 店舗の平面図と、シンクや冷蔵庫などの設備の配置を示します。 |
| 食品衛生責任者の資格を示す書類 | 資格証や養成講習会の修了証などです。 |
| 法人の登記事項証明書 | 法人が申請する場合に求められます(省略できる自治体もあります)。 |
| 水質検査の成績書 | 水道水以外(井戸水など)を使う場合に必要です。 |
| 申請手数料 | 自治体の条例で額が定められています。 |
飲食店営業許可の施設基準
施設基準は、国が省令で定める基準を参考に、都道府県などが条例で定めています。自治体によって細かな扱いが異なるため、事前相談で確認します。主な項目は次のとおりです。
- 手洗い設備:従事者専用で、流水式。手指を洗浄・消毒する装置を備え、必要な数を設ける
- 洗浄設備:食器や器具を洗うための流水式の設備を、十分な大きさと数で設ける
- 冷蔵・冷凍設備:食品を適切な温度で保管でき、温度計で確認できる
- 区画:調理場と客席などが区分され、関係者以外が立ち入らない
- 床・壁・排水:清掃しやすい材質で、排水がよい
- 換気・照明:十分な換気と明るさを確保する
- 防虫・防鼠:ねずみや昆虫の侵入を防ぐ
- 給水:飲用に適する水を使う
- トイレ:調理場に影響のない位置にあり、専用の手洗い設備がある
居抜き物件の注意点
前の店が許可を受けていても、その許可は引き継げません。経営者が変われば、原則として新たに許可を受けます。設備が現行の基準を満たしているかも、あらためて確認されます。賃貸借契約の前に、保健所で図面を見てもらうと安心です。手洗い設備の増設や床・壁の改修が必要になると、工事費と開店時期に影響します。
食品衛生責任者とHACCPに沿った衛生管理
店舗ごとに、食品衛生責任者を1人置きます。調理師、栄養士などの資格がある人はそのままなれます。資格がない場合は、自治体が指定する団体の養成講習会を受講します。東京都では、東京都食品衛生協会が講習会を実施しています。
HACCPに沿った衛生管理では、衛生管理計画を作り、従業員に周知し、実施状況を記録・保存します。小規模な飲食店は、業界団体が作成し国が確認した手引書を参考にすれば足ります。計画には、手洗いや器具の洗浄などの日常的な衛生管理と、メニューごとの加熱や冷却の確認方法を書きます。記録は毎日つけ、保健所から求められたときに示せるよう保管しておきます。実施状況は、保健所の立入検査や許可の更新の際に確認されます。
許可の有効期間は、5年を下らない範囲で自治体が定めます。更新の時期は許可証で確認し、期限前に手続きをします。
許可の名義と許可後の届出
許可は、実際に営業する人(個人または法人)の名義で受けます。個人で許可を受けた後に会社を設立して営業を移すと、営業者が変わるため、原則として会社名義であらためて許可を受けます。会社で運営する予定なら、設立を済ませてから会社名義で申請するのが効率的です。
許可を受けた後も、次のような場合は保健所への届出が必要です。
- 会社の名称や所在地、代表者が変わったとき
- 食品衛生責任者が交代したとき
- 店舗の構造や主な設備を変更するとき(大きな改装は事前に相談します)
- 営業をやめたとき(廃業の届出)
営業開始前に必要なその他の手続き
| 手続き | 窓口 | 必要になる場合 |
|---|---|---|
| 防火対象物使用開始届 | 消防署 | 店舗の使用を始める前(期限は市町村の火災予防条例で定められています) |
| 防火管理者の選任届 | 消防署 | 収容人員が30人以上の店舗など |
| 深夜酒類提供飲食店営業開始届 | 警察署(公安委員会) | 深夜(午前0時から午前6時)に酒類を提供する飲食店(主に食事を提供する店を除く)。営業開始の10日前まで |
| 風俗営業許可 | 警察署(公安委員会) | 客の接待を行う場合など |
| 酒類販売業免許 | 税務署 | 店内での提供は不要。持ち帰り用に酒を販売する場合 |
深夜営業や接待の判断は、物件選びにも影響します。詳しくは風営法の許可が必要な飲食店と酒類販売業免許の種類と要件で解説しています。2020年4月からは、改正健康増進法により飲食店は原則屋内禁煙です。喫煙室を設ける場合は基準と標識の掲示が必要です。
開店前によくある失敗
- 賃貸借契約や内装工事の発注を先に済ませ、後から手洗い設備やシンクの不足を指摘される
- 許可の名義を個人にしてしまい、会社に切り替える際に許可を取り直す
- 消防署への届出や防火管理者の選任を、開店直前まで後回しにする
事前相談の内容や指摘された点は、日付とあわせて記録しておくと、内装業者との調整に役立ちます。
外国人経営者・外国資本が飲食店を開くときの注意点
- 在留資格:営業許可に国籍の要件はありませんが、経営者として日本で活動するには「経営・管理」などの在留資格が必要です。
- 物件:賃貸借契約で飲食店としての使用が認められているか、排気やにおいの制限がないかを確認します。
- 言語:申請書類、講習会、保健所とのやりとりは日本語です。日本語で対応できる担当者を用意します。
- 調理人の採用:外国料理の調理師は在留資格「技能」の対象で、原則として10年以上の実務経験が求められます。接客や調理を幅広く任せる場合は、特定技能「外食業」も選択肢です。要件は特定技能の受け入れ要件をご覧ください。
- 留学生アルバイト:資格外活動許可の範囲内(原則週28時間以内)で働いてもらいます。
TIMOAにできること
飲食店営業許可は、事前相談、申請、施設検査を経て受けます。施設基準は内装工事の前に確認し、消防や警察への届出も並行して進めることが大切です。外国人経営者の場合は、在留資格や物件の条件も同時に整える必要があります。
TIMOAは、提携する行政書士・社会保険労務士と連携し、会社設立、物件の確認、営業許可や関連する届出の準備、従業員の採用手続きまでを支援します。詳しくは許認可・金融ライセンスのページをご覧ください。
よくある質問
外国人でも飲食店営業許可を受けられますか?
受けられます。営業許可に国籍の要件はありません。ただし、日本で経営に携わるには、それができる在留資格が必要です。
居抜き物件なら前の店の許可を使えますか?
使えません。営業許可は営業者と施設ごとに受けるもので、経営者が変われば原則として新たに許可が必要です。設備を引き継いでも、現行の基準に合うか確認されます。
食品衛生責任者の資格はどう取りますか?
調理師や栄養士などの資格があればなれます。資格がない場合は、自治体が指定する団体の養成講習会を受講します。
許可の有効期間はどのくらいですか?
食品衛生法により、5年を下らない範囲で自治体が定めます。期限が切れる前に更新の手続きをします。
参考・出典
- 厚生労働省 営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報 www.mhlw.go.jp
- 厚生労働省 食品衛生法の改正について www.mhlw.go.jp
- 厚生労働省 食品衛生法等の一部を改正する法律の政省令等に関する資料 www.mhlw.go.jp
- 目黒区 新たに食品営業を始めるとき www.city.meguro.tokyo.jp