2026年10月1日時点の制度に基づいています。
日本に3か月を超えて住む外国人は、国籍にかかわらず、原則として公的医療保険に加入します。会社の健康保険(社会保険)の対象者はそちらに加入し、それ以外の人は住所地の市区町村で国民健康保険に加入します。どちらに入るかは、働き方や役員報酬の有無、在留資格で決まります。
会社の健康保険と国民健康保険の違い
| 項目 | 会社の健康保険 | 国民健康保険 |
|---|---|---|
| 対象 | 適用事業所の役員・従業員 | 会社の健康保険などに入っていない住民 |
| 運営 | 協会けんぽ、健康保険組合 | 市区町村(都道府県と共同) |
| 保険料 | 報酬に応じて決まり、会社と本人が折半 | 前年の所得や世帯の人数などで市区町村ごとに計算し、全額を本人が負担 |
| 家族 | 要件を満たせば被扶養者になり、保険料の追加負担はない | 扶養の仕組みはなく、家族もそれぞれ加入者になる |
| 休業中の給付 | 傷病手当金・出産手当金がある | 原則としてない |
| 手続 | 会社が年金事務所などに届け出る | 本人(世帯主)が市区町村に届け出る |
医療機関での自己負担は、どちらも原則3割です。小学校入学前の子どもは2割、70歳から74歳は所得に応じて2割または3割です。医療費が高額になったときは、どちらにも自己負担の上限を設ける高額療養費の制度があります。75歳以上の人は、後期高齢者医療制度に加入します。
会社の健康保険(社会保険)に加入する人
法人は、役員報酬を受ける社長1人だけの会社でも、健康保険・厚生年金保険の適用事業所です。常時使用される従業員と報酬を受ける役員は、国籍にかかわらず加入します。健康保険と厚生年金保険は原則としてセットで加入し、40歳以上65歳未満の人は介護保険料もあわせて納めます。
- 経営・管理ビザの経営者:自分の会社から役員報酬を受けていれば、会社の健康保険に加入します。報酬がない場合は、国民健康保険と国民年金に加入するのが一般的です。
- 短時間で働く人:労働時間と日数が通常の従業員の4分の3以上なら加入します。4分の3未満でも、一定の規模以上の企業で週20時間以上働く人などは加入の対象です。
- 中国本土から派遣される社員:日本と中国の社会保障協定は年金が対象で、医療保険は対象外です。日本の会社に雇われて働く場合、健康保険には日本の制度で加入します。
年金の加入もあわせて確認する
日本に住む20歳以上60歳未満の人は、国籍にかかわらず公的年金に加入します。会社の健康保険に入る人は厚生年金保険に、国民健康保険に入る人は原則として国民年金に加入します。中国本土の会社から5年以内の予定で派遣される人は、社会保障協定により、手続をすれば日本の厚生年金保険の加入が免除される場合があります。年金の加入期間が6か月以上ある外国人が日本を出国した場合は、出国後2年以内に脱退一時金を請求できます。
加入の要件と手続の期限は、社会保険・労働保険の加入義務で詳しく解説しています。
国民健康保険に加入する人と手続
加入の対象
住民票が作成される外国人で、会社の健康保険などに加入していない人が対象です。一般に、3か月を超える在留期間が決定された中長期在留者などがこれに当たります。一方、次の人は加入できません。
- 在留資格が「短期滞在」「外交」の人
- 「特定活動」のうち、医療を受けるために来日した人とその付添いの人
- 「特定活動」のうち、観光・保養を目的に滞在する人とその配偶者
- 会社の健康保険に加入している人とその被扶養者、生活保護を受けている人
在留期間が3か月以下でも、「興行」「技能実習」「家族滞在」などで、3か月を超えて滞在することを書類で示せる場合は、加入できることがあります。細かな運用は市区町村によって異なるため、住所地の窓口で確認します。
手続と期限
来日して住所を定めたら、市区町村の窓口で転入届とあわせて加入の手続をします。届出の期限は、資格を得た日から14日以内です。加入の資格は住み始めた日から生じるため、手続が遅れても、その日にさかのぼって保険料を納めることになります。
国民健康保険料の決まり方
国民健康保険料(自治体によっては国民健康保険税)は、世帯ごとに計算し、世帯主が納めます。所得に応じた部分と、加入者の人数に応じた部分などを組み合わせ、医療分、後期高齢者支援金分、40歳以上65歳未満の人の介護分を合計します。料率は市区町村ごとに異なります。来日直後で日本での前年の所得がない場合の扱いも、窓口で確認します。
会社に就職して会社の健康保険に入ったときや、出国するときは、国民健康保険の脱退の手続が必要です。手続をしないと、保険料の請求が続くことがあります。
保険証とマイナ保険証:医療機関での使い方
従来の健康保険証は2024年12月2日に新規発行が終わり、現在はマイナンバーカードを保険証として使う「マイナ保険証」が基本です。マイナンバーカードを持っていない人や、保険証の利用登録をしていない人には、加入先から資格確認書が交付されます。
- 在留カードを持つ中長期在留者も、住民票があればマイナンバーカードを申請できます。
- マイナンバーカードの有効期限は、在留期間の満了日と連動します。在留期間を更新したら、市区町村でカードの期限の手続も行います。
- 加入の手続が済む前に受診した場合は、いったん全額を支払い、後で払い戻しを申請する方法があります。
出産や高額な医療費への備え
会社の健康保険でも国民健康保険でも、出産したときは出産育児一時金が支給されます。入院などで医療費が高額になる見込みのときは、事前に加入先へ申請すると、窓口での支払いを自己負担の上限額までに抑えられます。マイナ保険証を使えば、この申請を省略できる医療機関も増えています。
家族を扶養に入れる場合:国内居住要件
会社の健康保険では、収入などの要件を満たす家族を被扶養者にできます。2020年4月からは、これに加えて、原則として日本国内に住所があること(住民票があること)が必要になりました。
| 家族の状況 | 被扶養者の扱い |
|---|---|
| 日本で同居する配偶者や子(家族滞在など) | 収入などの要件を満たせば認定される |
| 海外の大学などに留学している子 | 例外として認定される場合がある |
| 海外赴任する被保険者に同行する家族 | 例外として認定される場合がある |
| 中国本土などで暮らす両親 | 例外に当たらない限り認定されない |
例外に当たる場合は、ビザや在学証明書などの書類を添えて届け出ます。家族を日本に呼ぶ手続は家族滞在ビザの要件で解説しています。
保険料の未納と在留審査
在留期間の更新や在留資格の変更、永住許可の審査では、税金や社会保険料の納付状況が確認されます。永住許可では、公的義務を適正に果たしていることが要件の一つです。詳しくは永住許可の要件と審査のポイントをご覧ください。
厚生労働省は、出入国在留管理庁と連携し、国民健康保険料や国民年金保険料の未納がある外国人について、在留期間の更新や在留資格の変更を原則として認めない仕組みを2027年6月から始める方針を示しています。具体的な運用は、今後の厚生労働省や出入国在留管理庁の公表で確認します。会社の経営者は、自分の分だけでなく、会社として社会保険料を期限どおりに納めることも大切です。
収入の減少などで国民健康保険料の納付が難しいときは、放置せず、早めに市区町村の窓口に相談します。事情によっては、保険料の減免や分割での納付を相談できる場合があります。民間の医療保険や海外旅行保険は、公的医療保険の代わりにはなりません。公的保険に加入したうえで、必要に応じて上乗せの補償として検討します。
TIMOAにできること
外国人の健康保険は、役員報酬の有無や働き方、在留資格によって加入先が変わります。家族の扶養には国内居住要件があり、保険料の納付状況は在留審査にも関わります。TIMOAは、提携する社会保険労務士・行政書士と連携し、会社の社会保険の手続、家族の在留資格、来日後の生活の立ち上げを支援します。詳しくは富裕層向けサービスをご覧ください。
よくある質問
民間の医療保険に入っていれば、国民健康保険に入らなくてもよいですか?
加入できません。公的医療保険は、対象者であれば加入が義務です。民間の保険は、公的保険に上乗せする補償として考えます。
経営・管理ビザの社長は国民健康保険ですか?
自分の会社から役員報酬を受けていれば、会社の健康保険と厚生年金保険に加入します。報酬がない場合は、国民健康保険と国民年金に加入するのが一般的です。
中国に住む両親を扶養に入れられますか?
2020年4月から、健康保険の被扶養者には原則として日本国内に住所があることが必要です。海外に住む両親は、留学などの例外に当たらない限り扶養に入れません。
国民健康保険の加入が遅れた場合はどうなりますか?
資格は住み始めた日にさかのぼって生じるため、その日からの保険料を納めることになります。来日や転入の後は、早めに手続します。
参考・出典
- 日本年金機構 被扶養者の国内居住要件 www.nenkin.go.jp
- 神奈川県 県内に居住している外国人の方へ(医療保険) www.pref.kanagawa.jp
- 目黒区 外国籍のかたの国民健康保険の加入 www.city.meguro.tokyo.jp
- 札幌市 国民健康保険の加入 www.city.sapporo.jp