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定款の事業目的の書き方|許認可・ビザ・銀行口座への影響と変更手続

事業目的は定款に必ず書く事項で、登記簿にも載ります。登記では具体性は審査されませんが、許認可、経営・管理ビザ、銀行口座の審査では書き方が確認されます。記載例と注意点、設立後に目的を変更する手続と費用を解説します。

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TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

事業目的は、定款に必ず書かなければならない事項で、登記簿にも記載されます。登記官は目的の具体性を審査しませんが、許認可の申請、経営・管理ビザの審査、銀行口座の開設では、目的の書き方が確認されます。予定する事業を、一般に意味が通じる言葉で漏れなく書くことが基本です。

事業目的とは

会社法では、目的は商号や本店所在地と並ぶ定款の絶対的記載事項です。記載がなければ、定款は効力を持ちません。設立登記で登記され、誰でも登記事項証明書で確認できます。

民法では、法人は定款で定めた目的の範囲内で権利を持ち、義務を負うとされています。判例はこの範囲を広く解していますが、実務では、目的にない事業を始める前に目的を追加するのが原則です。

登記で審査される要件

要件 内容 現在の扱い
適法性 法令や公序良俗に反しないこと 審査される
営利性 利益を上げることを目的とする事業であること 審査される
明確性 一般の人が意味を理解できる言葉であること 審査される
具体性 事業内容がどの程度具体的に書かれているか 2006年の会社法施行後は審査されない

会社法の施行後、法務省は、設立登記などで目的の具体性を審査しない扱いとしました。同じ地域での類似商号の規制が廃止されたことが、理由の一つとされています。

株式会社では、公証役場での定款認証の際に、目的の表現について指摘を受けることもあります。迷う表現は、法務局の登記相談などで事前に確認できます。

明確性の目安として、国語辞典などに載っている言葉かどうかが参考にされることがあります。新しい業界用語や外国語を使う場合は、意味が一般に通じるかを確認します。

事業目的の書き方と記載例

書き方の基本

  • 予定している事業を、1項目に1事業ずつ列挙します。
  • 設立後数年のうちに始める可能性のある事業も入れておきます。
  • 主な事業を先頭に書きます。順序に法的な意味はありませんが、登記事項証明書を読む人は最初の数行で事業を判断しがちです。
  • 最後に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」と書くのが一般的です。
  • 数に法律上の上限はありません。ただし、関係のない事業を大量に並べると、事業の中身が伝わりにくくなります。

記載例

事業 記載例 補足
ソフトウェア開発 ソフトウェアの企画、開発、販売及び保守 受託開発とSaaSを分けて書くこともあります
化粧品の輸入販売 化粧品の輸入及び販売 販売目的の輸入には薬機法の許可が必要です
飲食店 飲食店の経営 営業許可は店舗ごとに取得します
中古品の売買 古物営業法に基づく古物商 古物商許可が必要です
人材派遣 労働者派遣事業 この表記を求める労働局の案内があります
コンサルティング 経営に関するコンサルティング業務 士業の独占業務は行えません

表の記載例は一般的な例です。許認可が必要な事業の表記は、定款を作る前に所管の窓口で確認してください。

避けたい書き方

  • 「ビジネス全般」「各種事業」など、何をする会社か伝わらない書き方
  • 税務代理や法律事務など、資格者でなければ行えない業務をそのまま書くこと
  • 許認可の名称と異なる独自の表現や、外国語だけの表記
  • 実際に行う予定のない事業を、数多く並べること

定款を作る前のチェックリスト

  1. 今後3年程度で始める可能性のある事業を洗い出します。
  2. それぞれの事業に許認可や登録が必要かを確認します。
  3. 必要な表記を、所管の窓口や専門家に確認します。
  4. 事業計画書や会社案内で説明する事業と、目的の内容をそろえます。
  5. 最後に附帯事業の項目を入れます。

許認可の申請で確認される点

許認可の申請では、登記事項証明書や定款を提出します。審査では、申請する事業が目的に含まれているかが確認されます。

例えば労働者派遣事業の許可では、労働局の案内で、事業目的に「労働者派遣事業」を行う旨の記載が必要とされています。「人材派遣業」など別の表現では、目的の変更を求められることがあります。詳しくは労働者派遣事業の許可で解説しています。

古物商、建設業、宅地建物取引業、旅行業、有料職業紹介事業なども、目的の記載が確認される代表的な業種です。表現の細かな扱いは窓口によって異なることがあります。

反対に、目的に許認可事業を書いても、それだけで事業を始められるわけではありません。許可や登録を受けてから営業を始めます。無許可の営業は、罰則の対象となることがあります。

目的への記載が不十分だと、申請の前に定款変更と変更登記が必要になり、事業開始が遅れます。設立時に、始める予定の許認可事業を洗い出しておくことが大切です。

経営・管理ビザと銀行口座への影響

経営・管理ビザ

経営・管理ビザの申請では、登記事項証明書と事業計画書を提出します。事業計画書で説明する事業と、登記された目的が一致していることが前提です。目的にない事業を計画の中心に置くと、説明を求められる可能性があります。許認可が必要な事業では、その取得状況や見込みも確認されることがあります。在留期間の更新でも、決算書などとあわせて実際の事業内容が見られます。申請の全体像は経営・管理ビザの申請書類と審査期間をご覧ください。

銀行口座の開設

銀行は、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認で、法人の事業内容を定款や登記事項証明書で確認します。目的が多すぎて実際の事業が見えない場合は、追加の説明を求められることがあります。口座開設の申込書でも事業内容を記入するため、目的と矛盾しない説明を用意します。

資金移動業や暗号資産交換業などは、登録を受けなければ営めない事業です。こうした言葉を目的に入れる場合は、登録の予定や時期を説明できるようにしておきます。準備の詳細は外国人経営者の法人口座開設で解説しています。

税務署への届出

設立後に税務署へ提出する法人設立届出書にも、定款に記載した事業の目的と、実際に営む事業を書く欄があります。ここでも目的と実態をそろえておくと、後の手続で説明がしやすくなります。

設立後に事業目的を変更する手続

  1. 株式会社では、株主総会の特別決議で定款を変更します。合同会社では、定款に別の定めがなければ総社員の同意が必要です。
  2. 変更の日から2週間以内に、本店所在地の法務局で変更登記を申請します。
  3. 登録免許税は1件につき3万円です。
  4. 許認可の申請や、銀行・取引先への届出が必要かを確認します。

使わなくなった目的を削除する場合も、同じ手続が必要です。目的の追加と削除を同じ機会にまとめて行うと、手間を減らせます。

変更登記を怠ると、過料の対象となることがあります。新しい事業を始める時期が決まったら、早めに手続を進めます。

設立時に目的をまとめて書いておけば、追加の費用はかかりません。後から追加すると、登録免許税に加えて、株主総会の準備や専門家の報酬、登記完了までの期間が必要になります。許認可の申請はその後になるため、事業の開始が遅れることもあります。海外の親会社が株主の場合は、株主総会の議事録などへの署名の手配にも時間がかかります。

まとめ

事業目的は、登記では具体性まで審査されません。一方で、許認可、ビザ、銀行口座の審査では、目的の書き方が確認されます。予定する事業を、意味が通じる言葉で漏れなく書くことが、後の手続を円滑にします。特に許認可が必要な事業は、表記の確認を設立前に済ませておくことをおすすめします。

TIMOAは、提携する司法書士・行政書士と連携し、事業計画と許認可の予定に合わせた目的の設計、定款の作成、変更登記までをサポートします。詳しくは日本進出・会社設立のページをご覧ください。

よくある質問

事業目的はいくつまで書けますか?

法律上の上限はありません。ただし関係のない事業を多数並べると、銀行や取引先に事業の中身が伝わりにくくなります。

目的に書いていない事業を始めてもよいですか?

新しい事業を始める前に、定款を変更して目的を追加するのが原則です。許認可が必要な事業では、目的への記載が申請の前提になります。

事業目的に英語やカタカナの言葉を使えますか?

一般に意味が通じる言葉であれば使えます。新しい業界用語は、意味が伝わる日本語の説明を加えることを検討します。

事業目的の変更にはいくらかかりますか?

変更登記の登録免許税は3万円です。専門家に依頼する場合は、その報酬が別にかかります。

参考・出典

  1. e-Gov法令検索 会社法 laws.e-gov.go.jp
  2. 法務省 会社の目的における具体性の審査の在り方について(PDF) www.moj.go.jp
  3. 法務省 会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A www.moj.go.jp
  4. 出入国在留管理庁 在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について www.moj.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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