2026年6月1日時点の制度に基づいています。
クロスボーダー収納代行は、2026年6月1日施行の改正資金決済法により、原則として為替取引として扱われ、資金移動業の登録が必要になりました。すでに営んでいる事業者には経過措置があり、登録なしで続けられるのは2026年11月30日までとされています。自社や委託先の資金の流れを早めに整理してください。
クロスボーダー収納代行の規制とは
収納代行とは、事業者が顧客に代わって代金を受け取り、または支払う仕組みです。そのうち国境をまたぐものが、今回の改正で規制の対象になりました。
改正法は、資金決済に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第66号)です。解説によれば、改正法と関係する政令・内閣府令は、2026年6月1日に施行されました。為替取引を業として営むには、資金移動業の登録(または銀行免許)が必要です。
改正の経過
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2025年3月7日 | 改正法案が国会に提出された |
| 2025年6月6日 | 改正法が成立 |
| 2025年6月13日 | 公布 |
| 2026年6月1日 | 施行(政令・内閣府令も同日施行) |
| 2026年11月30日 | 経過措置の区切り(施行日から6か月) |
登録が必要な業務を無登録のまま続けると、法令違反になるおそれがあります。登録の要否を曖昧にしたまま運用を続けるのは避けてください。
適用除外の考え方
すべての国境をまたぐ収納代行が登録の対象になるわけではありません。一定の取引は、内閣府令(資金移動業者に関する内閣府令)で定める類型に当たる場合に、規制の対象外と整理されています。
どの類型に当たるかは、条文上の要件を一つずつ確認して決まります。名称が似ていても、資金の流れや契約の中身で結論が変わります。解説記事の要約だけで判断せず、府令の条文と金融庁の公表資料で確認してください。
外国企業に影響が出やすいケース
次のような事業は、確認の優先度が高くなります。
- 海外の顧客から、日本の事業者への代金を代わって受け取っている。
- 日本の事業者から海外の取引先への支払を、まとめて代行している。
- 自社グループ外の複数の事業者のために、資金を集めて分配している。
- 海外の決済会社や収納代行業者を、委託先・提携先として使っている。
自社で収納代行スキームを提供している場合は、登録が必要になる可能性があります。外部の業者を使っている場合も、その業者が必要な登録を受けているかの確認が実務上重要です。
経過措置と2026年11月30日の期限
改正法には経過措置があります。法律事務所の解説では、概要は次のとおり整理されています。
| 措置 | 内容 |
|---|---|
| ① | 施行の際に現に該当する業務を営む事業者は、施行日(2026年6月1日)から6か月以内(2026年11月30日まで)は、登録を受けずに続けられる |
| ② | この期間内に登録を申請した場合は、申請後も一定の期間、登録を受けるまで続けられる(解説では、施行日から2年以内とされています) |
経過措置の対象者や条件は、事業者の現在の登録の有無や業務内容によって異なります。改正法の附則と府令の条文で、自社に適用されるかを確認してください。
期限後に何もしないまま続けると、無登録営業になるおそれがあります。次の順で進めるのが現実的です。
- 自社の資金の流れを図にし、誰が誰のために資金を受け取り、送っているかを整理する。
- 適用除外の類型に当たるかを、専門家と一緒に検討する。
- 該当する場合は、登録申請か、スキームの見直し(提供停止・提携への切替)かを決める。
- 契約書、利用規約、社内規程を新しいスキームに合わせて修正する。
登録を目指す場合の準備
資金移動業は登録制です。個別の要件は、申請する種別や事業内容によって変わります。要件の詳細は、金融庁や管轄の財務局の公表資料で確認する必要があります。そのうえで、次の資料を早めに整えておくと、検討が進めやすくなります。
- サービスの全体像を示す資金フロー図(受取・保管・送金の各段階)
- 顧客、受取人、提携先、委託先の一覧と、各社との契約書
- 利用規約と、利用者への説明文書
- 取引量や取引先の概要を示す資料
- 社内の体制と責任者を示す資料
- マネー・ローンダリング対策など、社内ルールの現状
外国企業の場合は、本国の経営陣への説明資料も必要になります。日本語の資料と翻訳で用語がずれないよう、早い段階で用語表を作っておくと便利です。判断の記録は、日付と担当者を付けて残してください。
登録手続きの全体像や他の金融ライセンスとの違いは、日本の金融ライセンスの種類と登録の流れで整理しています。
委託先・提携先に確認すること
外部の収納代行業者や決済会社を使う場合、契約前後に次の点を書面で確認しておくと安心です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 登録の状況 | 資金移動業などの登録を受けているか、または申請中か。登録の有無は金融庁・財務局の公表情報でも確かめる |
| サービスの範囲 | 登録を受けている業務の範囲と、実際に提供を受けるサービスが一致しているか |
| 資金の流れ | 誰の名義の口座に資金が入り、どの段階で誰に渡るのか |
| 契約条項 | 登録を失った場合や、サービスが止まった場合の対応が定められているか |
| 代替手段 | サービスが止まった場合に、代金回収や支払を続ける別の方法があるか |
回答があいまいな場合は、その点を記録に残し、専門家に相談してください。口頭の説明だけで進めると、後で事実関係を確かめにくくなります。
自社が対象かを確かめる質問
社内で検討を始めるときは、次の問いに答えられるかを確認します。
- お金は、日本国内と海外のどちらからどちらへ動いているか。
- 自社は、誰の代わりに受け取り、または支払っているか。
- 受け取った資金は、自社の口座に一度入るのか。
- 手数料は、誰から、何に対して受け取っているか。
- 施行日(2026年6月1日)より前から、同じ形で営んでいたか。
答えを文書にまとめておくと、専門家への相談や、当局への説明がしやすくなります。
よくある誤りと最新情報の確かめ方
よくある誤り
- 外部の収納代行業者に任せているので、自社は関係ないと考える。
- 経過措置があるので、期限までは何も準備しなくてよいと考える。
- 他社の解説記事の分類を、そのまま自社に当てはめる。
- 契約書の文言だけを見て、実際の資金の流れを確認しない。
最新情報の確かめ方
この分野は、施行直後で解釈や運用が整理されつつあります。判断の前に、次の資料を確認してください。
- 改正法の条文と附則(e-Gov法令検索)
- 資金移動業者に関する内閣府令の最新の条文
- 金融庁が公表するパブリックコメントの結果と回答
- 金融庁の事務ガイドラインや、登録に関する案内
口座・送金まわりで併せて確認すること
資金移動を伴う事業では、銀行口座の開設や維持の審査も厳しくなりがちです。事業内容の説明資料を整えておくと、手続きが進めやすくなります。準備の考え方は、外国人経営者の法人口座開設で解説しています。
まとめ
クロスボーダー収納代行は、改正資金決済法により、要件を満たす場合は資金移動業の規制対象になりました。適用除外の該当性と経過措置の適用関係は、スキームごとに異なります。経過措置の区切りは2026年11月30日です。早めの整理が重要です。
TIMOAは、パートナーの弁護士などの専門家と連携し、スキームの整理、登録の要否の検討、申請準備、日本進出に伴う体制づくりを支援します。金融ライセンス全般については、許認可・金融ライセンスのサービスページもご覧ください。
よくある質問
クロスボーダー収納代行とは何ですか?
事業者が顧客に代わって代金を受け取り、または支払う収納代行のうち、国境をまたぐものです。改正資金決済法で、原則として為替取引(資金移動業の規制対象)として扱われるようになりました。
改正資金決済法はいつ施行されましたか?
2025年6月6日に成立し、同月13日に公布され、2026年6月1日に施行されました。
適用除外になる取引はありますか?
一定の取引は、内閣府令で定める類型に当たる場合に規制の対象外と整理されています。該当性はスキームごとに異なるため、最新の府令と金融庁の資料で確認が必要です。
外部の収納代行業者を使っているだけでも注意が必要ですか?
はい。委託先・提携先が必要な登録を受けているかの確認が実務上重要です。登録が必要な業者が無登録のまま営んでいると、サービスの継続に影響する場合があります。
登録が必要か判断するには、誰に相談すればよいですか?
該当性は事業スキームごとに異なります。金融規制に詳しい弁護士などの専門家に、資金の流れの図と契約書を示して相談するのが一般的です。
参考・出典
- クロスボーダー収納代行と「代理受領」―令和7年改正資金決済法(2026年6月1日施行)への実務対応(OneAsia Law) oneasia.legal
- クロスボーダー収納代行に関する規制の見直しの概要(Lexology) www.lexology.com
- 令和7年改正資金決済法の施行(LOGIT) partners.logit.jp
- グローバル収納代行規制の完全解説(三宅法律事務所) www.miyake.gr.jp
- 資金決済法改正の概要と実務上のポイント(Westlaw Japan) www.thomsonreuters.co.jp
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