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株式譲渡の手続き|譲渡制限株式の承認から株主名簿の名義書換まで

非上場の日本の株式会社の株式を譲渡するときは、多くの場合、定款の譲渡制限により会社の承認が必要です。譲渡承認の請求、承認機関の決定、譲渡契約と決済、株主名簿の名義書換という流れと、外国人が関わる場合の外為法・税金の注意点を解説します。

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執筆
TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

非上場の日本の株式会社の株式を譲渡するときは、多くの場合、定款の譲渡制限により会社の承認が必要です。手続きは、譲渡承認の請求、承認機関による決定と通知、譲渡契約と代金の決済、株主名簿の名義書換の順に進みます。株券を発行している会社では、株券の交付も必要です。

株式譲渡の全体の流れ

株式譲渡の一般的な流れは次のとおりです。

  1. 定款と株主名簿を確認する(譲渡制限、承認機関、株券発行の有無)
  2. 譲渡人と譲受人で、株式数・価格・決済日などの条件を合意する
  3. 譲渡人(または譲受人)が、会社に譲渡承認を請求する
  4. 承認機関が決定し、請求者に結果を通知する
  5. 株式譲渡契約を結び、代金を決済する(株券発行会社は株券を交付)
  6. 譲受人が会社に株主名簿の名義書換を請求する
  7. 役員の交代などがあれば、変更の登記をする

実務では、承認を条件とする株式譲渡契約を先に結び、承認後に決済することもよくあります。順番は、当事者の関係や取引の規模に応じて決めます。

定款で確認すること

手続きを始める前に、会社の定款を確認します。日本の非上場会社の多くは、定款で株式の譲渡に会社の承認が必要と定めています。このような株式を「譲渡制限株式」といいます。

  • 株式の譲渡に承認が必要か、だれが承認するか
  • 株券を発行する旨の定めがあるか
  • 相続人などに対する売渡しの請求の定めがあるか
  • 承認の通知期間を2週間より短く定めていないか

相続や合併で株式が移る場合は、譲渡ではないため会社の承認は不要です。その代わり、定款に定めがあれば、会社は相続人などに株式を会社に売り渡すよう請求できます。経営に関わらない人に株式が分散するのを防ぐための仕組みです。

株主名簿の記載が実態と合っているかも、この段階で確認します。過去の譲渡で名義書換をしていない、名義だけの株主がいるといった問題は、後の取引の障害になります。

譲渡制限株式の承認手続き

だれが請求するか

承認の請求は、株式を譲り渡す株主がすることができます(会社法136条)。株式を取得した人が請求することもでき、その場合は原則として株主名簿上の株主と共同で請求します(137条)。請求では、譲渡する株式の数と譲受人の氏名・名称を明らかにします。承認しない場合に会社または指定買取人による買取りを求めるときは、その旨も請求に含めます。

だれが承認するか

会社の機関設計 承認機関(定款に別段の定めがない場合)
取締役会設置会社 取締役会の決議
取締役会を置かない会社 株主総会の決議
定款に別段の定めがある会社 定款で定めた機関(代表取締役など)

承認機関が決定したら、会社は請求者に決定の内容を通知します。決議の議事録は、承認を受けた証拠として必ず作成・保管します。株主が1人の会社でも、手続きを省略せず書面を残しておくと、後の確認がスムーズです。

2週間のみなし承認

会社が請求の日から2週間(定款でこれより短い期間を定めた場合はその期間)以内に通知をしないと、原則として譲渡を承認したものとみなされます(145条)。会社と請求者の合意で別の定めをした場合は除きます。

承認されなかった場合

会社が承認しない場合で、請求者が買取りを求めていたときは、会社自身または会社が指定する買取人が株式を買い取ります。売買価格は当事者の協議で決め、まとまらなければ裁判所に価格の決定を申し立てることができます。会社が自ら買い取る場合は、会社法の財源規制(分配可能額)の範囲内でしか買い取れない点にも注意します。

株式譲渡契約で決めること

親族間や少数の株式の譲渡でも、契約書を作ることをおすすめします。M&Aでは、次の項目を詳しく定めます。

  • 譲渡する株式の種類と数、譲渡価格、支払方法と決済日
  • 決済の前提条件(譲渡承認、許認可の手続き、役員の辞任など)
  • 表明保証(財務内容、未払いの税金、訴訟、労務の問題がないことなど)
  • 表明保証に反した場合の補償、競業避止義務

譲渡価格は、純資産、収益力、類似する会社との比較などで検討します。評価の方法は企業価値評価の方法で解説しています。親族間などで時価と大きく異なる価格で譲渡すると、贈与税や法人税などの課税関係が生じることがあります。価格の根拠は記録として残しておきます。

株主名簿の名義書換と対抗要件

株券を発行していない会社では、当事者間の合意で株式は移転します。ただし、株主名簿に記載しなければ、会社その他の第三者に株主であることを主張できません(130条)。名義書換は、譲受人が株主名簿上の株主と共同で会社に請求するのが原則です(133条)。

株券発行会社では、株券を交付しなければ譲渡の効力が生じません(128条)。会社に対して株主であると主張するには、株主名簿の名義書換も必要です。株券を発行する定めがあるのに株券を発行していない会社では、譲渡の効力が問題になることがあるため、専門家に確認します。

株券を発行していない会社の株主は、会社に対して、株主名簿に記載された事項を証明する書面の交付を請求できます。譲受人は、名義書換が終わったことをこの書面で確認しておくと安心です。

登記が必要になる場合

株主は登記事項ではないため、株式譲渡そのものの登記はありません。ただし、譲渡にあわせて役員を変更した場合は、変更の日から2週間以内に本店所在地で変更の登記をします。株主総会の決議が必要な登記では、申請書に株主リストを添付します。名義書換が済んでいないと株主リストの内容と実態がずれるため、登記の前に株主名簿を更新しておきます。

外国人の役員や株主が書類に署名する場合、日本の印鑑証明書の代わりに、本国の公証人などによる署名証明を使うことがあります。取得に時間がかかるため、決済日から逆算して準備します。

外国人・外国企業が関わる場合の注意点

外為法の届出・報告

外国投資家が非上場の日本の会社の株式を取得すると、外為法の対内直接投資等に当たる場合があります。会社の業種によって、事前届出または事後報告が必要です。外国投資家から株式を譲り受ける場合でも、業種によっては事前届出が必要になることがあります。詳しくは外為法の対内直接投資とはをご覧ください。

譲渡益にかかる税金

譲渡人 主な課税
日本の居住者(個人) 譲渡所得として申告分離課税(所得税・復興特別所得税・住民税で20.315%)
日本の法人 譲渡益を法人の所得に含めて法人税などを申告
非居住者・外国法人 原則として日本では課税されないが、事業譲渡類似株式や不動産関連法人の株式などは日本で申告が必要。租税条約で調整されることがある

事業譲渡類似株式とは、譲渡の年以前3年以内のいずれかの時点で、株主グループ(特殊関係株主等)が発行済株式の25%以上を持ち、その年に5%以上を譲渡する場合をいいます。オーナー株主が会社を売る取引の多くはこれに当たるため、事前に税理士と確認します。買い手側の手続き全体は日本企業の買収(M&A)の流れで解説しています。

株式譲渡の手続きのまとめ

非上場会社の株式譲渡は、定款の確認、譲渡承認、契約と決済、株主名簿の名義書換の順に進みます。承認機関は定款と機関設計で決まり、会社が2週間以内に通知しないと承認したものとみなされます。名義書換をしないと、会社や第三者に株主であることを主張できません。外国人が関わる場合は、外為法と税金の確認も欠かせません。

TIMOAは、提携する司法書士・弁護士・税理士とともに、定款と株主名簿の確認、承認手続きの書類、株式譲渡契約、外為法の届出、役員変更の登記をサポートします。詳しくはM&A・事業承継・撤退のサービスをご覧ください。

よくある質問

株式譲渡に登記は必要ですか?

株主は登記事項ではないため、株式譲渡そのものの登記は不要です。ただし、譲渡にあわせて役員を変更した場合は、変更の登記が必要です。

取締役会のない会社では、だれが譲渡を承認しますか?

定款に別段の定めがなければ、株主総会の決議で承認します。定款で代表取締役などを承認機関と定めている会社もあるため、まず定款を確認します。

会社が承認の通知をしないとどうなりますか?

譲渡承認の請求の日から2週間(定款でこれより短い期間を定めた場合はその期間)以内に通知がないと、原則として承認したものとみなされます。

海外に住む個人が日本法人の株式を売ると、日本で税金がかかりますか?

多くの場合は日本で課税されませんが、発行済株式の25%以上を持つ株主グループが5%以上を譲渡する場合や、不動産関連法人の株式を譲渡する場合などは、日本で申告が必要になることがあります。租税条約による調整もあります。

参考・出典

  1. e-Gov法令検索 会社法 laws.e-gov.go.jp
  2. 国税庁 No.1936 海外勤務中に株式を譲渡した場合 www.nta.go.jp
  3. 国税庁 No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税) www.nta.go.jp
  4. 国税庁 No.2878 国内源泉所得の範囲 www.nta.go.jp
  5. 国税庁 非居住者・外国法人の不動産の賃貸・譲渡、不動産関連法人株式の譲渡(リーフレット) www.nta.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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