日本進出・会社設立

外為法の対内直接投資とは|事前届出と事後報告(45日以内)の基本

外国投資家が日本の会社の株式を取得すると、外為法の「対内直接投資等」に当たり、日本銀行経由の事前届出や事後報告が必要になる場合があります。対象となる行為、指定業種、30日の禁止期間、45日以内の事後報告、2026年改正の動きを解説します。

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TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

外国投資家が日本の会社の株式を取得するなど、外為法の「対内直接投資等」に当たる行為をする場合、業種や取得の内容に応じて、日本銀行を経由した事前届出か事後報告が必要です。事前届出は投資の前に行い、受理から30日間は投資を実行できません。事後報告は、投資を行った日から45日以内に提出します。

外為法の対内直接投資等とは

外為法(外国為替及び外国貿易法)は、対外取引を原則として自由としています。そのうえで、国の安全などを損なうおそれのある投資を審査する仕組みを設けています。その対象が「対内直接投資等」です。

対象となる主な行為

  • 非上場会社の株式や持分の取得(1株からでも対象)
  • 上場会社の株式の取得で、出資比率または議決権比率が1%以上となるもの
  • 外国会社による日本での支店等の設置(一定の場合)
  • 会社の事業目的の変更に関する同意など、一定の行為

日本で子会社を設立し、外国の親会社が設立時の株式を取得する場合も、非上場会社の株式の取得に当たります。日本進出の最初の手続きとして、外為法の確認が必要です。

外国投資家とは

外為法の「外国投資家」は、国籍ではなく、居住性や支配関係で判断します。主に次の者が含まれます。

  • 非居住者である個人
  • 外国の法令に基づいて設立された法人や、外国に主たる事務所がある法人
  • 上記の者が直接または間接に議決権の50%以上を持つ会社
  • 非居住者である個人が役員の過半数を占める会社 など

具体的には、次のように考えます。

  • 中国本社が日本で株式会社を設立する:本社は外国投資家で、非上場会社の株式の取得に当たる
  • 香港に住む個人が日本の会社に出資する:非居住者である個人として外国投資家に当たる
  • 外資が議決権の50%以上を持つ日本法人が、別の会社に出資する:その日本法人も外国投資家に当たる

日本に住む外国籍の個人は、居住者であれば、通常は外国投資家に当たりません。一方、日本法人でも外国の親会社が議決権の50%以上を持つ場合は外国投資家となります。その日本法人が別の日本の会社に出資するときにも、手続きが必要になることがあります。

事前届出が必要なケース

投資先の会社(その子会社などを含む)が「指定業種」を営む場合は、原則として事前届出が必要です。指定業種は告示で定められています。武器、航空機、原子力、宇宙、電力・ガス、通信、放送、鉄道などのほか、サイバーセキュリティの観点から、ソフトウェアや情報処理に関連する業種も含まれます。

IT関連の事業は指定業種に当たる可能性があります。定款の事業目的だけでなく、実際に営む事業の内容で判断するため、早い段階で確認します。

届出の時期と禁止期間

事前届出は、投資を行おうとする日の前6か月以内に、日本銀行を経由して財務大臣と事業所管大臣に提出します。届出の受理から30日間は、投資を実行できません(禁止期間)。

国の安全等を損なうおそれがないと判断されれば、禁止期間は短縮されることがあります。審査が必要な場合は延長され、変更や中止の勧告を受けることもあります。

事前届出の免除制度

役員に就任しないことや、非公開の技術情報にアクセスしないことなど、一定の基準を守る外国投資家は、事前届出の免除制度を利用できる場合があります。ただし、外国政府等による投資や、特に重要な業種(特定業種)への投資では、利用できないか、条件が厳しくなります。

免除制度を利用した場合は、事後報告が必要です。非上場会社への投資で免除制度を利用するときは、出資比率や議決権比率にかかわらず事後報告を行います。

事前届出のあとの実行報告

事前届出を経て投資を実行した場合は、実行から45日以内に実行報告を提出します。届出をして終わりではない点に注意します。

事後報告が必要なケースと45日の期限

事前届出が不要な投資でも、事後報告が必要になる場合があります。主なケースは次のとおりです。

  • 指定業種以外(非指定業種)の会社への一定の投資
  • 事前届出の免除制度を利用した投資

事後報告は、投資を行った日から45日以内に、直投命令に定める様式で、日本銀行を経由して財務大臣と事業所管大臣に提出します。様式と記入の手引は、日本銀行のウェブサイトで公表されています。

項目 事前届出 事後報告
主な対象 指定業種を営む会社への投資 非指定業種への一定の投資、免除制度を利用した投資
提出の時期 投資の前(実行予定日の前6か月以内) 投資を行った日から45日以内
待機期間 受理から30日間は実行できない(短縮・延長あり) なし
提出先 日本銀行経由で財務大臣・事業所管大臣 日本銀行経由で財務大臣・事業所管大臣
投資後の手続き 実行から45日以内に実行報告 なし

子会社を設立するときの注意点

子会社の設立では、定款の作成、資本金の払込み、登記と手続きが続くため、外為法の手続きを忘れがちです。事前届出が必要な業種なら、株式の取得の前に届出と禁止期間の経過が必要です。設立の日程に影響するため、計画の段階で確認します。

事後報告の場合も、45日の起算日となる「投資を行った日」がいつかを、個別に確認します。報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりすると、外為法上の罰則の対象となる場合があります。会社設立の全体の流れは、外国人・外国企業が日本で会社を設立する流れで解説しています。

手続きの流れと確認すること

  1. 投資する者が外国投資家に当たるかを確認する
  2. 予定している行為が対内直接投資等に当たるかを確認する
  3. 投資先(その子会社などを含む)の事業が指定業種に当たるかを確認する
  4. 事前届出、免除制度、事後報告のどれに当たるかを判断する
  5. 日本銀行に書類を提出し、期限を管理する

書類では、投資家の名称や国籍、株主の構成、投資先の事業内容、取得する株式の数などを記載します。判断に迷う場合は、日本銀行の外為法手続の窓口に照会できます。

既存の日本企業を買収する場合も、同じ確認が必要です。M&Aの手続き全体は日本企業の買収(M&A)の流れをご覧ください。

2026年の外為法改正のポイント

2026年5月29日、対内直接投資の審査制度を見直す外為法の改正法が成立し、6月5日に公布されました。主な内容は次のとおりです。

  • 外国法人などを通じて日本企業への支配を強める間接的な取得(間接取得)を、審査の対象に加える
  • リスク軽減措置を届出事項として明確にする
  • 省庁横断の「対日外国投資委員会」を設ける

間接取得の具体的な範囲や、新しい届出の要否の判断基準は、政令・省令などで定められます。日本の会社の株式を持つ外国のグループ会社で、株主の変更や再編を予定している場合は、施行日との前後関係を含めて早めに確認します。

改正法の施行日は、一部を除き、公布の日から1年を超えない範囲で政令で定める日とされています。関係する政令・省令の整備も進められています。本記事は2026年10月1日時点で施行されている制度に基づいています。施行日や新しい様式は、財務省と日本銀行の最新の案内で確認してください。

まとめ

外国投資家による日本の会社への出資は、子会社の設立も含めて外為法の対内直接投資等に当たります。指定業種なら事前届出と30日の禁止期間、それ以外でも45日以内の事後報告が必要になる場合があります。2026年の改正で対象が広がる予定のため、最新の制度で判断することが大切です。

TIMOAは、提携する行政書士や弁護士とともに、外為法の手続きの要否の確認、事前届出・事後報告の書類作成、会社設立との日程調整を支援します。進出形態の検討は日本支店と日本法人(子会社)の違い、全体の支援は日本進出・会社設立の支援内容をご覧ください。

よくある質問

日本で100%子会社を設立する場合も外為法の手続きは必要ですか?

外国の親会社が設立時の株式を取得することは、非上場会社の株式の取得として対内直接投資等に当たります。業種に応じて事前届出か事後報告が必要かを確認します。

事後報告の期限はいつまでですか?

投資を行った日から45日以内です。直投命令に定める様式で、日本銀行を経由して財務大臣と事業所管大臣に提出します。

事前届出をしてからどのくらいで投資を実行できますか?

届出の受理から30日間は投資を実行できません。国の安全等を損なうおそれがないと判断されれば短縮されることがあり、審査が必要な場合は延長されることがあります。

日本に住んでいる外国籍の個人が出資する場合も対象ですか?

外為法の外国投資家は国籍ではなく居住性などで判断します。日本に住む居住者である個人は、通常は外国投資家に当たりません。

参考・出典

  1. 財務省 対内直接投資審査制度について www.mof.go.jp
  2. 財務省 外国投資家による投資について(2024年9月) lfb.mof.go.jp
  3. 日本銀行 外為法Q&A(対内直接投資・特定取得編) www.boj.or.jp
  4. 財務省 法律案について(第221回国会・令和8年3月) www.mof.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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