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日本支店の閉鎖手続き|外国会社の登記・税務・従業員対応の流れ

外国会社の日本支店を閉鎖するには、営業所の閉鎖と日本における代表者の退任の登記が必要です。代表者が全員退任する場合は、1か月以上の債権者保護手続が先に必要です。登記、税務、社会保険、従業員対応の流れと期限を解説します。

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TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

外国会社の日本支店を閉鎖するには、営業所の閉鎖と、日本における代表者の退任の登記をします。日本に住所のある代表者が全員退任する場合は、1か月以上の期間を定めた債権者保護手続(官報公告と個別の催告)を先に行う必要があります。あわせて、税務署・年金事務所・ハローワークへの届出と、従業員の雇用の整理を進めます。

日本支店の閉鎖と日本法人の清算の違い

日本支店は、外国本社と同じ法人の一部です。日本法人(子会社)のように「解散・清算」をするのではなく、日本での営業所と代表者を整理する手続きになります。

項目 日本支店の閉鎖 日本法人(子会社)の清算
主な登記 営業所の閉鎖、日本における代表者の退任 解散・清算人の登記、清算結了の登記
債権者保護手続 代表者が全員退任する場合に1か月以上 2か月以上
残った財産 もともと本社の財産で、分配の手続きはない 株主に残余財産を分配する
日本での債務 閉鎖後も本社が負う 清算で弁済し、法人は消滅する

支店と子会社の違いは日本支店と日本法人(子会社)の違いで、子会社を畳む手続きは日本法人の解散・清算の手続きと期間で解説しています。

閉鎖を決める前に検討すること

閉鎖のほかにも、選択肢があります。日本の事業を第三者に事業譲渡する方法や、営業活動をやめて市場調査などに限る駐在員事務所に切り替える方法です。駐在員事務所では、日本で営業活動をすることはできません。日本の顧客との関係をどこまで残したいかで、選ぶ方法が変わります。

日本支店の閉鎖の流れとスケジュール

手続き 内容 期限・期間
1. 本社の決定 閉鎖の時期、代表者の退任、従業員と資産の扱いを決める 閉鎖の数か月前が目安
2. 従業員・取引先への説明 雇用の整理、契約の解約や引継ぎ 解雇する場合は原則30日前までに予告
3. 債権者保護手続 官報公告と、知れている債権者への個別の催告 1か月以上の期間を置く
4. 登記 営業所の閉鎖、代表者の退任 債権者保護手続の終了後
5. 税務・社会保険の届出 税務署、自治体、年金事務所、ハローワーク 届出ごとに期限がある
6. 最後の申告・納付 法人税、消費税、源泉所得税、地方税 税理士と期限を確認

オフィスの賃貸借契約は、解約の予告期間と原状回復の範囲を最初に確認します。予告期間が長い契約では、閉鎖日がこれに左右されます。

登記の手続き:代表者の退任と営業所の閉鎖

代表者が全員退任する場合は債権者保護手続が必要

外国会社の登記をした会社は、日本に住所のある日本における代表者が全員退任しようとするとき、債権者に異議を述べる機会を与えなければなりません(会社法820条)。

  • 退任すること、異議があれば一定の期間内に述べられることを官報に公告する
  • 知れている債権者には、個別に催告する
  • 異議を述べられる期間は、1か月以上とする
  • 異議を述べた債権者には、弁済、相当の担保の提供、財産の信託のいずれかをする(その債権者を害するおそれがない場合を除く)

代表者の退任は、この手続きが終わった後に、その登記をすることで効力を生じます。官報公告は、申込みから掲載までに日数がかかります。異議を述べられる期間が満了した後に登記を申請するため、公告の掲載日から逆算して日程を組みます。全員の退任の登記がされると、日本での外国会社の登記記録は閉鎖されます。閉鎖日を後で示す必要がある場合に備え、本社の決定書面などを保管しておきます。

代表者を残して営業所だけを閉じる場合

日本に住所のある代表者を1名以上残し、営業所だけを閉じることもできます。この場合は全員の退任ではないため、債権者保護手続は不要で、営業所の閉鎖などの変更登記をします。外国会社の変更登記は、原則として変更から3週間以内に申請します。将来日本で取引を再開する可能性があるときの選択肢です。

税務の手続き

日本支店は、外国法人の「恒久的施設」として法人税の申告をしてきたはずです。恒久的施設を有する外国法人の確定申告は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。閉鎖に伴い、主に次の届出と申告が必要になります。

手続き 提出先 期限の目安
外国普通法人でなくなった旨の届出書(恒久的施設を有しなくなった場合など) 税務署 速やかに
給与支払事務所等の廃止届出書 税務署 廃止の日から1か月以内
消費税の事業廃止届出書 税務署 速やかに
法人住民税・事業税の廃止の届出 都道府県・市町村 各自治体が定める期限
納税管理人の届出 税務署 閉鎖後に申告や納付が残る場合、速やかに

恒久的施設を有しなくなる場合は、事業年度の区切りや申告期限に特別な取扱いがあり、納税管理人の届出の有無で期限が変わることがあります。最後の申告の期限は、閉鎖日を決める前に税理士と確認します。

支店の資産を本社に移す場合も、本支店間の内部取引として、所得の計算に反映される場合があります。資産を売却するか、本社に移すかは、税負担も含めて検討します。退職する従業員には、源泉徴収票を交付します。

閉鎖後も、過去の申告について税務署から問い合わせや調査を受けることがあります。日本での連絡窓口として、納税管理人や税理士を決めておきます。

従業員と社会保険の手続き

雇用の整理

支店の閉鎖は、それだけで自由に解雇できる理由にはなりません。解雇には、客観的に合理的な理由と、社会通念上の相当性が求められます(労働契約法16条)。まず、本社やグループ会社への転籍、条件を示した合意退職を検討するのが一般的です。転籍には本人の同意が必要です。

解雇する場合は、原則として30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払います。閉鎖の理由、退職条件、スケジュールを、早い段階で丁寧に説明します。退職金規程がある場合は規程に沿って支払い、未払の残業代や年次有給休暇の残日数の扱いも、退職日までに整理します。

社会保険・労働保険の届出

手続き 提出先 期限
健康保険・厚生年金保険 適用事業所全喪届 年金事務所など 事実発生から5日以内
雇用保険 適用事業所廃止届(資格喪失届・離職証明書と同時) ハローワーク 廃止の日の翌日から10日以内
労働保険 確定保険料申告書 労働基準監督署など 廃止の日の翌日から50日以内

外国人社員がいる場合

退職する外国人社員は、本人が所属機関に関する届出を、退職から14日以内に出入国在留管理庁へ行います。会社は、ハローワークへの外国人雇用状況の届出が必要です。在留資格に応じた活動をしない状態が一定期間続くと、在留資格の取消しの対象になることがあります。届出の詳細は在留カードの届出義務をご覧ください。

そのほかに整理すること

  • 取引先との契約の解約、または本社やほかの会社への引継ぎ
  • 許認可や登録を受けている場合の廃止の届出
  • 銀行口座の解約(最後の給与・税金の支払を終えてから)
  • 帳簿書類の保存場所と保存方法
  • ウェブサイト、電話番号、郵便物の転送の手配

支店の顧客との契約を本社が直接引き継ぐ場合は注意が必要です。外国会社が日本で継続して取引をするには、外国会社の登記が必要です。閉鎖後も日本での取引を続けるなら、登記を残すかどうかを含めて検討します。

TIMOAにできること

日本支店の閉鎖では、代表者の全員退任に1か月以上の債権者保護手続が必要です。登記、税務、社会保険、従業員対応の期限が重なるため、閉鎖日から逆算して計画を立てることが大切です。

TIMOAは、提携する司法書士、税理士、社会保険労務士、弁護士とともに、債権者保護手続と登記、最後の税務申告、社会保険の届出、従業員への説明の準備を、中国語と日本語で支援します。詳しくはM&A・事業承継・撤退のページをご覧ください。

よくある質問

日本支店の閉鎖にはどのくらいの期間がかかりますか?

日本における代表者が全員退任する場合、債権者保護手続に1か月以上かかります。従業員への対応や契約の解約、最後の税務申告も含めると、数か月の計画を立てるのが現実的です。

支店を閉鎖すれば、日本での債務はなくなりますか?

なくなりません。支店は本社と同じ法人の一部なので、閉鎖後も日本での債務は本社が負います。債権者保護手続で異議を述べた債権者には、弁済や担保の提供が必要になることがあります。

日本における代表者を1名残して、営業所だけ閉鎖することはできますか?

できます。この場合は全員の退任ではないため、債権者保護手続は不要で、営業所の閉鎖などの変更登記を行います。日本での継続的な取引を続けるかどうかで判断します。

支店の外国人社員は、閉鎖後どうなりますか?

退職する場合、本人は所属機関に関する届出を14日以内に出入国在留管理庁へ行います。在留資格に応じた活動をしない状態が続くと在留資格に影響するため、早めに転職や帰国の予定を確認します。

参考・出典

  1. 国税庁 C1-11 外国普通法人でなくなった場合の届出 www.nta.go.jp
  2. 日本年金機構 適用事業所が廃止等により適用事業所に該当しなくなったときの手続き www.nenkin.go.jp
  3. 法務省 外国会社の登記を忘れていませんか? www.moj.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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