不動産

外国人社員の住まいの用意|社宅・賃貸契約・保証会社の注意点

外国人社員の住まいは、会社が借りて貸す借上げ社宅か、社員本人の個人契約で用意します。社宅は会社の信用で審査を進めやすく、家賃の一部を社員から受け取れば給与課税を避けられます。契約の流れ、保証会社、入居後の届出まで解説します。

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執筆
TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

外国人社員の住まいは、会社が借りて社員に貸す「借上げ社宅」か、社員本人が契約する「個人契約」のどちらかで用意するのが一般的です。来日直後の社員は日本での信用情報や実績が少なく、個人契約の審査が難しいことがあります。借上げ社宅にすれば会社の信用で契約でき、社員から家賃の一部を受け取れば給与課税も抑えられます。

借上げ社宅と個人契約の違い

どちらを選ぶかで、契約者、審査、税金の扱いが変わります。主な違いは次のとおりです。

項目 借上げ社宅 個人契約(住宅手当あり)
賃貸借契約の契約者 会社 社員本人
入居審査 主に会社の信用で判断される 社員の収入・在留資格などで判断される
家賃の支払い 会社が貸主に支払い、社員から自己負担分を受け取る 社員が貸主に支払う
税金 社員から賃貸料相当額の50%以上を受け取れば給与課税なし 住宅手当は給与として課税
退職・帰国時 会社が解約や原状回復の対応をする 社員本人が解約手続きをする

借上げ社宅は会社の事務負担が増えます。一方で、入居までの期間を読みやすく、社員の生活を早く安定させられます。来日直後の数年間は社宅とし、日本での生活に慣れたら個人契約に切り替える会社もあります。

社宅の税金:賃貸料相当額と50%ルール

会社が社宅を無償や低い家賃で貸すと、通常の家賃との差額が「経済的利益」として給与課税される場合があります。基準になるのが、国税庁が定める「賃貸料相当額」です。

使用人(役員以外の社員)の賃貸料相当額は、月額で次の合計額です。

  1. その年度の建物の固定資産税の課税標準額 × 0.2%
  2. 12円 × 建物の総床面積(㎡)÷ 3.3㎡
  3. その年度の敷地の固定資産税の課税標準額 × 0.22%

会社が他から借りて社員に貸す借上げ社宅も、同じ計算式を使います。社員から賃貸料相当額の50%以上を受け取っていれば、差額は給与として課税されません。

例(賃貸料相当額10,000円) 社員から受け取る家賃 給与課税
50%以上を受け取る 6,000円 なし
50%未満を受け取る 3,000円 差額7,000円が課税
無償で貸す 0円 10,000円が課税

注意点が3つあります。第一に、現金で支給する住宅手当は給与として課税されます。第二に、社員本人が契約した住宅の家賃を会社が負担しても、社宅の貸与とは認められず課税されます。第三に、役員に貸す場合は計算方法が異なります。役員の社宅は役員報酬の決め方とあわせて設計します。

なお、住宅の家賃は消費税が非課税です。借上げ社宅の家賃は、会社の消費税の仕入税額控除の対象になりません。

賃貸契約の流れと入居審査の書類

借上げ社宅でも個人契約でも、流れは大きく変わりません。来日日から逆算して、1〜2か月前には物件探しを始めます。

  1. 予算、通勤時間、広さ、家族の有無など条件を決める
  2. 不動産仲介会社を通じて物件を探し、内見する(オンライン内見を使えることもあります)
  3. 入居申込書を出し、貸主・管理会社・保証会社の審査を受ける
  4. 重要事項説明を受け、賃貸借契約を結ぶ
  5. 敷金・礼金・仲介手数料・前家賃・保証料・火災保険料などの初期費用を支払う
  6. 鍵を受け取り、電気・ガス・水道・インターネットを手配する

初期費用は、地域や物件によって大きく異なります。敷金は退去時の原状回復費などを差し引いて返還されるお金で、礼金は返還されないお金です。海外ではなじみのない慣習のため、社員には事前に説明しておきます。

審査では、次のような書類を求められることが多くあります。

  • 在留カードとパスポート(来日前は在留資格認定証明書の写しなど)
  • 在職証明書、雇用契約書、内定通知書
  • 収入を示す書類
  • 借上げ社宅の場合は、会社の登記事項証明書や決算書

在留資格の手続きと入社日の関係は外国人社員の採用と就労ビザで解説しています。

保証会社と緊急連絡先

日本の賃貸住宅では、連帯保証人の代わりに家賃債務保証会社(保証会社)の利用を求められることが多くあります。保証会社は、入居者が家賃を滞納したときに立て替える会社です。保証料は入居者または契約者が負担するのが一般的です。

外国人の入居では、日本国内の緊急連絡先を求められることがよくあります。来日直後で知人がいない場合は、会社の担当者を緊急連絡先にすると審査が進めやすくなります。社内でだれが対応するかを決めておきます。

保証会社の審査に通らなかった場合は、別の保証会社を使える物件を探すか、会社名義の借上げ社宅に切り替える方法があります。審査の結果には理由が示されないことも多いため、候補の物件を複数用意しておくと安心です。

国土交通省は「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を公表しています。貸主や管理会社向けの実務の手引きで、入居申込書や契約書の多言語の見本も載っています。日本独自の敷金・礼金や原状回復の慣習を社員に説明するときにも役立ちます。

また、住宅セーフティネット法などの改正が2025年10月1日に施行されました。入居中の見守りなどを行う「居住サポート住宅」の制度が始まり、家賃債務保証業者の認定の仕組みも設けられています。

入居後の届出と生活ルール

中長期在留者は、住居地を定めた日から14日以内に、市区町村の窓口で在留カードを提示して住居地を届け出ます。引っ越したときも、移転した日から14日以内に移転先で届け出ます。住民票の転入届をすれば、住居地の届出をしたものとみなされます。届出の詳細は在留カードの届出義務をご覧ください。

入居後のトラブルを防ぐため、次の点を入居時に伝えておきます。

  • ごみの分別と収集日は自治体ごとに決まっている
  • 夜間の騒音や共用部分の使い方に注意する
  • 契約者以外の同居や又貸しは、契約で禁止されていることが多い
  • 退去時には、契約と原状回復のルールに沿って費用が精算される

会社として準備しておくこと

外国人社員が増えると、住まいの対応を個別に決めるのは非効率です。社宅規程を作り、次の項目を決めておきます。

  • 対象者(役職、単身・家族帯同、在籍期間)
  • 家賃の上限と社員の自己負担額(賃貸料相当額の50%以上が目安)
  • 初期費用、更新料、退去時の原状回復費の負担区分
  • 退職・帰国・転勤のときの退去期限
  • 緊急連絡先と、トラブル時の社内の窓口

家族を呼び寄せる場合は、広さや学校までの距離も条件に入ります。単身用の社宅から家族向けの物件に移るときの費用負担も、規程で決めておくと判断がぶれません。

退職・帰国のときの手続き

賃貸借契約には解約予告の期間が定められています。帰国や退職の予定が決まったら、すぐに貸主や管理会社へ連絡します。退去の前後には、次の対応が必要です。

  • 電気・ガス・水道・インターネットの解約と最終料金の精算
  • 家具や家電など、残置物の処分
  • 立会いによる原状回復の確認と、敷金の精算
  • 日本を離れる場合は、市区町村での転出の届出

借上げ社宅では、これらの多くを会社が対応します。社員が帰国した後に費用の請求が届くこともあるため、精算が終わるまでの連絡先を決めておきます。

外国人社員の住まいのまとめ

外国人社員の住まいは、借上げ社宅にするか個人契約にするかで、審査の進めやすさと税金の扱いが変わります。社宅にする場合は、社員から賃貸料相当額の50%以上を受け取れば給与課税を避けられます。個人契約でも、保証会社や緊急連絡先の面で会社の協力が欠かせません。入居後は14日以内の住居地の届出を忘れないようにします。

TIMOAは、提携する不動産会社や税理士・社会保険労務士とともに、社宅の契約、社宅規程と家賃負担の設計、在留資格や入社手続きとの日程調整をサポートします。詳しくは不動産のサービスをご覧ください。

よくある質問

社宅の家賃を会社が全額負担すると、社員に税金がかかりますか?

無償で貸すと、賃貸料相当額が給与として課税されます。社員から賃貸料相当額の50%以上を受け取っていれば、差額は課税されません。

住宅手当を現金で支給するのと社宅はどう違いますか?

現金の住宅手当は給与として課税されます。社員本人が契約した住宅の家賃を会社が負担する場合も、社宅の貸与とは認められず課税されます。

来日直後で日本に口座や実績がない社員でも部屋を借りられますか?

個人での契約は審査が難しいことがあります。会社名義の借上げ社宅にする、会社が緊急連絡先になるなどの方法で入居を進めやすくなります。

引っ越したときの届出期限はいつですか?

新しい住居地に移った日から14日以内に、移転先の市区町村で在留カードを提示して届け出ます。住民票の転入届をすれば、住居地の届出をしたものとみなされます。

参考・出典

  1. 国税庁 No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき www.nta.go.jp
  2. 国税庁 No.2600 役員に社宅などを貸したとき www.nta.go.jp
  3. 国土交通省 外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン www.mlit.go.jp
  4. 内閣府 令和8年版高齢社会白書 住宅セーフティネット法等の改正 www8.cao.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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