許認可・金融ライセンス

輸入ビジネスの手続き|通関・輸入許可と食品・化粧品の規制を解説

日本で商品を輸入して販売するには、税関への輸入申告と関税・消費税の納付に加え、商品ごとの法令の手続きが必要です。食品は検疫所への届出、化粧品は薬機法の許可と届出が求められます。通関の流れと主な規制、外国企業の注意点を解説します。

公開
執筆
TIMOA編集部
7分で読めます

2026年10月1日時点の制度に基づいています。

日本で商品を輸入するには、貨物を保税地域に搬入したうえで税関に輸入(納税)申告をし、関税と消費税を納めて輸入許可を受けます。食品や化粧品などは、関税法以外の法令(他法令)の許可や届出を、輸入許可の前に済ませる必要があります。日本に拠点のない外国企業が輸入者になる場合は、税関事務管理人の届出も必要です。

輸入通関の流れ

税関の案内によると、一般的な輸入通関は次の順で進みます。申告は輸入者本人でもできますが、財務大臣の許可を受けた通関業者に依頼するのが一般的です。

段階 主な内容
1. 到着・搬入 船会社や航空会社などから到着の通知を受け、貨物を保税地域に搬入する
2. 他法令の手続 食品の届出、植物や動物の検疫など、必要な許可・承認・届出を済ませる
3. 輸入(納税)申告 品名、数量、価格、関税分類などを申告する。NACCS(電子システム)での申告が中心
4. 審査・検査 税関が書類を審査し、必要に応じて現物を検査する
5. 納税 関税、消費税・地方消費税などを納める
6. 輸入許可・引取り 納税が確認されると輸入が許可され、貨物を引き取れる

申告に使う主な書類

  • 仕入書(インボイス):品名、数量、単価、取引条件などを記載した書類
  • 船荷証券(B/L)または航空運送状(AWB)
  • 原産地証明書など(経済連携協定の税率を使う場合)
  • 他法令の許可書や届出済みの証明

関税率は、品目ごとの関税分類(HSコード)で決まります。分類に迷う商品は、税関の事前教示制度で事前に照会できます。中国からの輸入では、RCEP協定などの経済連携協定(EPA)の税率を使える場合があります。そのためには、原産地の要件を満たし、それを証明する必要があります。

通関業者には、貨物が着く前に商品の仕様書や成分表を渡しておきます。関税分類や他法令の確認を前もって進められ、引取りまでの日数を読みやすくなります。

輸入時にかかる税金

税金 内容
関税 品目ごとに税率が決まる。経済連携協定の税率を使える場合もある
消費税・地方消費税 課税価格に関税などを加えた額に課される。税率は10%(飲食料品は8%)
品目ごとの税 酒類の酒税、たばこのたばこ税など

関税の課税価格は、原則として商品の代金に、日本の港や空港までの運賃と保険料を加えた額(CIF価格)です。

輸入時に納めた消費税は、課税事業者であれば、国内の売上げにかかる消費税から仕入税額控除として差し引けます。この控除には、税関から交付される輸入許可通知書などの保存が必要です。国内取引のインボイス制度との関係はインボイス制度と外国企業で解説しています。

日本に拠点のない外国企業が輸入者になる場合

輸入者は、貨物について税金を納め、法令を守る責任を負う立場です。日本法人や日本支店を持たない外国企業も、輸入者になることはできます。その場合は、日本に住所や本店がある人・法人を税関事務管理人に定め、事前に税関へ届け出ます(関税法第95条)。

  • 税関事務管理人は、輸入申告、検査の立会い、税金の納付、書類の受領などを行います。
  • 届出書(税関様式C第7500号)は、消費税等の納税管理人の届出を兼ねています。
  • 2023年10月の見直しで、届出書に届出者との関係を記載し、委任契約の内容を明らかにする書類を添付することになりました。あわせて、輸入申告を行う「貨物を輸入しようとする者」の意味が明確にされています。
  • 実際に貨物を引き取る取引の当事者ではなく、手続を代行するだけの業者を輸入者として申告する形には注意が必要です。誰が輸入者になるかは、取引の実態に合わせて決めます。
  • 2025年10月からは、非居住者が税関事務管理人を届け出ない場合に、税関長が国内の関連者を税関事務管理人に指定できる規定も整備されています。

継続して輸入・販売する場合は、日本法人や支店を設け、自社が輸入者になる形も検討します。化粧品の業許可などは日本国内の事業所を前提とするため、販売まで考えると国内拠点が必要になることが多いです。拠点の形は日本支店と日本法人(子会社)の違いで比較しています。

食品を輸入するときの規制(食品衛生法)

販売や営業に使う目的で食品を輸入する場合、輸入者は食品衛生法第27条に基づき、食品等輸入届出書を検疫所に提出します。届出が済んでいない食品は、販売や営業上の使用ができません。

  • 対象:食品、添加物、器具、容器包装、乳幼児用のおもちゃ
  • 届出先:通関する場所を管轄する検疫所(書面またはオンラインで提出)
  • 審査:食品衛生監視員が、原材料、製造方法、添加物などが日本の基準に合うかを審査し、検査の要否を判断します。
  • 税関では、届出済みの証明を示して輸入許可を受けます。

日本で使えない添加物が含まれていると、輸入できません。原材料と製造工程の資料を製造者から入手し、輸入前に確認します。継続して同じ食品を輸入する場合は、手続を簡素化する制度もあります。

販売の段階では、食品表示法に基づく日本語の表示が必要です。肉製品や果物などは、食品衛生法とは別に、動物検疫や植物検疫の対象になることがあります。お酒を輸入して販売する場合は、酒類販売業免許も必要です。詳しくは酒類販売業免許の種類と要件をご覧ください。

化粧品を輸入するときの規制(薬機法)

化粧品を輸入して日本で販売するには、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく業の許可と届出が必要です。どの許可が必要かは、事業の形で決まります。

事業の形 主に必要な許可
自社で輸入し、自社の製品として出荷する 化粧品製造販売業許可と化粧品製造業許可(包装・表示・保管)
輸入と保管は許可を持つ他社に委託し、自社の製品として出荷する 化粧品製造販売業許可
輸入だけを行い、他社の製品として出荷する 化粧品製造業許可(包装・表示・保管)
  • 製造販売業許可には、品質管理(GQP)と製造販売後安全管理(GVP)の基準に合う体制と、責任者の設置が必要です。
  • 製品ごとに、販売の前に化粧品製造販売届を提出します。輸入品の場合は、外国の製造業者に関する届出も先に行います。
  • 成分は化粧品基準(配合の禁止・制限)に適合している必要があり、日本語での全成分表示が求められます。

日本語の表示を付けた製品を輸入する場合でも、国内の製造業許可を持つ保管場所を経て、製造販売業者が品質を確認し、出荷の判定をする流れが必要です。具体的な手順は、都道府県の薬務担当課の案内で確認します。美白や育毛などの効能をうたう医薬部外品は、製品ごとの承認が必要です。

その他の主な規制と準備の順番

商品の例 主な法令 主な手続
家電・電気製品 電気用品安全法 輸入事業者の届出、技術基準への適合確認、PSEマークの表示
果物・野菜・植物 植物防疫法 植物検疫
肉・肉製品・動物 家畜伝染病予防法 動物検疫
医薬品・医療機器 薬機法 業許可と、製品ごとの承認・認証・届出
ワシントン条約の対象品 外為法など 輸入承認など

偽ブランド品など知的財産を侵害する物品は、関税法上、輸入してはならない貨物です。自社ブランドを日本で販売する場合は、商標の権利も事前に確認します。

製造物責任法では、製品を業として輸入した者も、製造業者と同じく欠陥による損害の賠償責任を負います。海外の製造者との契約で品質保証や補償の条項を確認し、保険への加入も検討します。

準備は、次の順番で進めると手戻りが少なくなります。

  1. 扱う商品の関税分類と、関係する法令を洗い出す
  2. 必要な業許可・届出と、そのための国内拠点や人員を決める
  3. 製造者から成分表や製造工程などの資料を集める
  4. 通関業者と契約し、初回の輸入でスケジュールと費用を確認する

許可には審査の期間があります。定款の事業目的に輸入販売が入っていなければ、変更も必要です。販売開始の時期から逆算して準備します。

TIMOAにできること

輸入ビジネスでは、通関と税金に加えて、商品ごとに異なる法令の許可・届出を、販売開始までにそろえる必要があります。外国企業の場合は、誰を輸入者にするかも最初に決めるべき論点です。

TIMOAは、提携する行政書士、通関業者、税理士と連携し、輸入者の体制づくり、食品や化粧品の許可・届出、輸入時の消費税を含む税務までを調整します。サービスの詳細は許認可・金融ライセンスをご覧ください。

よくある質問

輸入の通関手続は自社でできますか?

輸入者本人が申告することもできます。実務では、財務大臣の許可を受けた通関業者に代理を依頼するのが一般的です。

日本法人を作らずに、海外の本社が輸入者になれますか?

なれます。日本に住所や本店を持つ人や法人を税関事務管理人に定め、事前に税関へ届け出ます。輸入者は取引の実態に合わせて決める必要があり、手続を代行するだけの業者を輸入者とする形には注意が必要です。

販売しない少量の食品にも食品等輸入届出は必要ですか?

販売や営業に使わない個人用や試験研究用などの輸入は、届出が不要とされています。扱いに迷う場合は、事前に検疫所に確認します。

輸入時に払った消費税は取り戻せますか?

課税事業者であれば、消費税の申告で仕入税額控除として差し引けます。税関から交付される輸入許可通知書などの保存が必要です。

参考・出典

  1. 税関 カスタムスアンサー 1101 輸入通関手続の概要 www.customs.go.jp
  2. 税関 カスタムスアンサー 9601 日本に居住しない者が税関手続を行う場合の手続 www.customs.go.jp
  3. 厚生労働省 輸入食品の届出(食品衛生法第27条) www.mhlw.go.jp
  4. 神奈川県 化粧品の製造、輸入または製造販売等について www.pref.kanagawa.jp
  5. 税関 税関事務管理人制度(リーフレット) www.customs.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

まずは、無料相談から。

オンラインで、日本語・中国語・英語でお話を伺います。