2026年10月1日時点の制度に基づいています。
特定技能は、人手不足の産業分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人を即戦力として雇用するための在留資格です。受け入れ企業は、雇用契約・企業自体・支援体制の基準を満たす必要があります。1号の外国人には支援計画に基づく支援を行い、その支援は登録支援機関に委託することもできます。
特定技能1号と2号の違い
特定技能には1号と2号があります。1号は「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」、2号は「熟練した技能」を要する業務が対象です。在留期間や家族の帯同、支援義務の有無が大きく異なります。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能の水準 | 相当程度の知識または経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間の上限 | 原則として通算5年まで | 更新の上限なし |
| 家族の帯同 | 原則として不可 | 配偶者と子は可(家族滞在) |
| 支援計画 | 受け入れ企業に実施義務あり | 対象外 |
| 対象分野 | 分野別運用方針で定める分野 | 1号より限られる(介護分野などは対象外) |
対象となる分野
制度は2019年4月に始まりました。2024年3月29日の閣議決定で、自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が加わり、16分野になりました。
さらに2026年1月23日の閣議決定で、特定技能と育成就労の分野別運用方針が一体的に定められ、物流倉庫など3分野を新たに対象に加える方針が示されました。新しい分野で実際に受け入れが始まる時期や対象となる業務は、関係する省令や運用要領の整備によって決まります。自社の業務がどの分野・業務区分に当たるかは、出入国在留管理庁の分野別の情報で最新の状況を確認します。
2号は、2023年6月の閣議決定で、介護分野を除く11分野に対象が広がりました。介護分野には別に在留資格「介護」があるため、2号は設けられていません。2024年以降に追加された分野で2号を受け入れるかどうかは、最新の分野別運用方針で確認します。1号から2号へ移るには、分野ごとに定める試験への合格などが求められます。長く働いてもらうことを前提にするなら、2号への移行の道筋も採用時に説明しておくと、定着につながります。
外国人本人の要件(1号)
1号では、分野ごとの技能試験と日本語試験に合格することが原則です。技能実習2号を良好に修了した方は、関連する分野で試験が免除される場合があります。
受け入れ企業(特定技能所属機関)の基準
受け入れ企業の基準は、雇用契約の内容、企業自体の適格性、支援体制の3つに分かれます。どれか一つでも欠けると、在留資格の許可は受けられません。
雇用契約の基準
- 報酬額が、同じ業務に従事する日本人と同等以上であること
- 所定労働時間が、同じ企業の通常の労働者と同等であること
- 外国人であることを理由に、賃金や福利厚生で差別的な取扱いをしないこと
- 一時帰国を希望した場合に、休暇を取得させること
- 派遣形態の場合は、派遣先と派遣期間が定められていること
企業自体の基準
- 労働、社会保険、租税に関する法令を守っていること
- 1年以内に、同じ種類の業務の労働者を非自発的に離職させていないこと
- 1年以内に、受け入れ側の責めによる行方不明者を発生させていないこと
- 分野ごとに所管省庁が設ける協議会の構成員になること
- 地方公共団体から共生施策への協力を求められた場合に、必要な協力をすること
最後の項目は、2025年4月1日施行の省令改正で加わりました。受け入れの前に、自治体へ「協力確認書」の提出を求められる地域があります。社会保険の加入状況も確認されるため、事前に整理しておくと安心です。
雇用形態
雇用は直接雇用が原則です。農業分野と漁業分野では、派遣形態での受け入れも認められています。
1号特定技能外国人への支援の内容
1号の外国人を受け入れる企業は、支援計画を作成し、計画に沿って支援を行います。支援は、外国人が十分に理解できる言語で行う必要があります。義務的支援は次の10項目で、すべて実施しなければなりません。
- 事前ガイダンス(雇用契約の締結後、在留資格の申請前に労働条件などを説明)
- 出入国する際の送迎
- 住居の確保と、銀行口座・携帯電話・ライフラインの契約の支援
- 生活オリエンテーション(日本のルール、公共機関の利用、災害時の対応など)
- 役所などでの公的手続への同行
- 日本語学習の機会の提供
- 相談・苦情への対応
- 日本人との交流促進
- 企業の都合で雇用契約を解除する場合の転職支援
- 3か月に1回以上の定期的な面談と、法令違反がある場合の行政機関への通報
登録支援機関に委託する場合
自社だけで支援を行う体制が整わない場合は、登録支援機関に委託できます。支援の全部を委託すると、支援体制の基準を満たすものとみなされます。
- 登録支援機関は、出入国在留管理庁長官の登録を受けた個人または団体です。
- 登録の有効期間は5年で、更新しなければ効力を失います。
- 登録を受けた機関は、出入国在留管理庁のホームページで公表されています。
- 支援にかかる費用を、外国人本人に直接または間接に負担させることはできません。
委託先を選ぶ際は、対応できる言語、支援の実績がある分野、定期面談の実施方法、費用の内訳を確認します。委託しても、雇用主としての責任は企業に残ります。報酬の支払い、労働時間の管理、契約内容の変更に伴う手続は、企業自身が管理します。
受け入れまでの流れと届出
- 自社の業務が対象分野・業務区分に当たるかを確認する
- 試験の合格者や、技能実習2号の修了者など、要件を満たす人材を確保する
- 雇用契約を結び、支援計画を作成する(委託する場合は登録支援機関と契約)
- 事前ガイダンスを行い、必要に応じて自治体へ協力確認書を提出する
- 海外から呼ぶ場合は在留資格認定証明書の交付申請、国内にいる方は在留資格の変更許可申請を行う
- 入国・就労開始後、支援計画に沿って支援を行う
受け入れ後は、出入国在留管理庁への届出が続きます。雇用契約の変更や終了、支援計画の変更などがあった場合は、その都度届け出ます。受け入れ状況や支援の実施状況などの定期届出も必要です。届出の時期や様式は見直されることがあるため、出入国在留管理庁の最新の案内で確認し、期限を社内の年間予定に組み込みます。
受け入れ前に社内で確認すること
- 同じ業務の日本人の賃金と比較できる資料(賃金規程や給与台帳)
- 就業規則、労働条件通知書、時間外労働に関する協定の整備
- 支援責任者と支援担当者の選任、外国人が理解できる言語での相談体制
- 住居の確保の方法と、生活オリエンテーションの実施計画
- 雇用保険・社会保険の加入手続と、給与からの控除の説明方法
これらは在留資格の申請書類にも反映されます。準備が不十分だと、審査で追加資料を求められ、就労開始が遅れる原因になります。
技能実習から育成就労へ:2027年4月の制度変更
2024年の法改正で、技能実習制度に代わる育成就労制度が創設されました。施行日は政令で2027年4月1日と定められています。育成就労は、人手不足分野で人材を育成・確保することを目的とし、原則3年で特定技能1号の水準まで育成することを目指します。
施行後も移行期間が設けられ、在留中の技能実習生には経過措置があります。2026年1月の分野別運用方針は、特定技能と育成就労を一体で定めています。企業は、育成就労から特定技能1号、さらに2号へとつながる長期の育成計画を前提に、採用を考えることが大切です。
大学卒業者などをホワイトカラー職で採用する場合は、特定技能ではなく「技術・人文知識・国際業務」が中心になります。違いは外国人社員の採用と就労ビザで解説しています。
特定技能の受け入れのまとめ
特定技能の受け入れでは、分野の確認、雇用条件の設計、支援体制の整備、受け入れ後の届出までを一体で管理します。1号は原則として通算5年が上限で、在留期間は永住許可の就労資格の期間に含まれない点にも注意が必要です。2号に移行すれば、家族滞在での家族の呼び寄せも可能になります。
TIMOAは、提携する行政書士・社会保険労務士とともに、分野の確認、雇用契約と支援計画の準備、在留資格の申請、社会保険の手続、受け入れ後の届出の管理まで支援します。詳しくはビザ・人材・生活のサービスをご覧ください。
よくある質問
特定技能1号の外国人は家族を呼び寄せられますか?
1号では、原則として家族の帯同は認められていません。2号に移行すると、配偶者と子を在留資格「家族滞在」で呼び寄せることができます。
支援はすべて自社で行う必要がありますか?
自社で実施することもできますが、支援の全部または一部を登録支援機関に委託できます。全部を委託した場合は、支援体制の基準を満たすものとみなされます。
登録支援機関への委託費用を本人の給与から差し引けますか?
できません。支援にかかる費用を、外国人本人に直接または間接に負担させることは認められていません。
技能実習制度はいつ終わりますか?
技能実習に代わる育成就労制度が、2027年4月1日に施行されます。施行後も一定の移行期間が設けられ、在留中の技能実習生には経過措置があります。
参考・出典
- 出入国在留管理庁 特定技能制度 www.moj.go.jp
- 出入国在留管理庁 1号特定技能外国人支援・登録支援機関について www.moj.go.jp
- 出入国在留管理庁 特定技能制度に係る基本方針・分野別運用方針・運用要領 www.moj.go.jp
- 出入国在留管理庁 令和7年4月1日施行の省令改正について www.moj.go.jp
- 鹿児島県 育成就労制度について www.pref.kagoshima.jp