日本進出・会社設立

日本支店と日本法人(子会社)の違い|登記・税務・責任を比較

日本支店は外国本社と同じ法人の一部で、外国会社の登記をして営業します。日本法人(子会社)は本社とは別の法人です。登記の要件、税金のかかり方、責任の範囲、日本での信用の違いを比較し、選び方のポイントを整理します。

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TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

日本支店は外国本社と同じ法人の一部で、外国会社の登記をして日本で営業します。日本法人(子会社)は、日本の会社法に基づいて設立する本社とは別の法人です。責任の範囲、税金のかかり方、設立の手続き、日本での信用が異なるため、事業の目的と期間に合わせて選びます。

日本支店と日本法人(子会社)の違い:比較表

どちらも日本で継続して営業できる形態です。主な違いを表にまとめます。

項目 日本支店 日本法人(子会社)
法的な位置付け 外国本社と同一の法人(外国会社) 日本の法人(内国法人)で、本社とは別の法人
設立の方法 外国会社の登記(日本における代表者、営業所) 定款の作成、出資の払込み、設立登記
代表者 日本における代表者。1名以上は日本に住所が必要 代表取締役など。全員が海外在住でも設立登記は可能
資本金 日本で定める必要はない 必要(金額は事業計画に応じて決める)
登録免許税 営業所設置の登記で9万円 株式会社は資本金の0.7%(最低15万円)、合同会社は0.7%(最低6万円)
責任の範囲 日本での債務も本社が直接負う 親会社の責任は原則として出資の範囲
法人税 外国法人として、恒久的施設に帰属する所得などに課税 内国法人として、国内外のすべての所得に課税
利益の戻し方 本店への送金(配当ではない) 親会社への配当(源泉徴収の対象)

日本支店(外国会社の登記)の要件と流れ

日本における代表者を定める

外国会社が日本で継続して取引をするには、日本における代表者を定めます。代表者のうち1名以上は、日本に住所を有する人でなければなりません(会社法817条)。国籍は問われません。

登記をするまで取引を継続できない

外国会社は、外国会社の登記をするまで、日本で継続して取引をすることができません(会社法818条1項)。これに違反して取引をした人は、その取引の債務について会社と連帯して責任を負います。過料の対象にもなります。

登記の期限と主な書類

初めて日本における代表者を定めたときは、3週間以内に外国会社の登記をします。営業所を設ける場合は営業所の所在地、設けない場合は代表者の住所地を管轄する法務局に申請します。

  • 本社の設立の準拠法、目的、資本金などを証する書面(本国の管轄官庁や日本にある領事などの認証が必要。実務では宣誓供述書が多く使われます)
  • 日本における代表者が適法に選任されたことを証する書面(任命書など)
  • 書面の訳文

外国書類の準備には時間がかかることがあります。登記の予定日から逆算して、本国での手続きを始めます。

日本における代表者の権限と退任

日本における代表者は、外国会社の日本での業務について、裁判上・裁判外の一切の行為をする権限を持ちます。社内でその権限を制限しても、事情を知らない第三者には対抗できません。信頼できる人を選び、本社との間で権限や報告の方法を決めておきます。

日本における代表者の全員が退任する場合は、債権者に異議を述べる機会を与える手続きが必要です(会社法820条)。日本から撤退するときにも時間がかかる点を、最初から想定しておきます。

日本だけで事業をする目的なら子会社を検討

日本に本店を置く外国会社や、日本で事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本で継続して取引をすることができません(会社法821条)。実質的に日本だけで事業をする計画であれば、日本法人の設立を検討します。

日本法人(子会社)の設立の流れ

子会社は、株式会社か合同会社で設立するのが一般的です。どちらを選ぶかは、株式会社と合同会社の違いで詳しく解説しています。

  1. 商号、本店所在地、事業目的、資本金、役員を決める
  2. 定款を作成する(株式会社は公証人の認証が必要)
  3. 資本金を払い込む
  4. 設立登記を申請する
  5. 税務署、自治体、年金事務所などに届出をする

2015年3月16日以降、代表取締役の全員が海外に住んでいても、株式会社の設立登記は受理されています。ただし、銀行口座の開設や在留資格の手続きでは、別途の確認が必要です。

資本金の払込みには、発起人の銀行口座を使います。内国銀行の海外支店や、外国銀行の日本国内の支店の口座も使えます。外国銀行の海外支店の口座は使えません。

税務の違い:支店は恒久的施設、子会社は内国法人

日本支店の課税

日本支店は、外国法人の「恒久的施設」に当たります。平成26年度の税制改正で、恒久的施設に帰属する所得などに課税する仕組み(帰属主義)に改められました。支店を本社から独立した事業者とみなし、本社との内部取引も考慮して所得を計算します。

日本法人(子会社)の課税

子会社は内国法人として、国内外のすべての所得に法人税がかかります。親会社との取引価格は、第三者間の取引と同じ水準であることが求められます。

利益を本国に戻すとき

支店から本店への送金は、同じ法人の中の資金の移動で、配当には当たりません。子会社から親会社への配当は、原則として所得税・復興特別所得税(20.42%)の源泉徴収の対象です。本国との租税条約により、税率が軽減される場合があります。

どちらの形態でも、法人住民税や事業税、消費税の申告が必要になる場合があります。税負担の比較は本国の税制にもよるため、税理士と試算することをおすすめします。

責任・信用・運営面の違い

責任の範囲

支店の債務は、本社が直接負います。日本での契約や訴訟のリスクが、そのまま本社に及びます。子会社の場合、親会社の責任は原則として出資の範囲に限られます。

日本での信用

日本の取引先は、登記事項証明書や決算書で相手を確認するのが一般的です。子会社は日本の決算書を示せるため、日本の会社として説明しやすくなります。支店は、本社の規模や実績で信用を示すことになります。

決算と公告

日本の株式会社と同種の外国会社は、本国で決算の承認を受けた後、貸借対照表に相当するものを日本で公告する必要があります(会社法819条)。子会社は、日本の会社法に基づいて計算書類を作成し、株式会社であれば決算公告を行います。

外為法の手続き

外国投資家が日本法人の株式を取得することや、外国会社が日本に支店等を設けることは、外為法上の「対内直接投資等」に当たる場合があります。業種によっては事前届出が必要です。詳しくは外為法の対内直接投資:事前届出と事後報告をご覧ください。

日本支店と子会社、どちらを選ぶべきか

日本支店が向いているケース

  • 本社の信用と実績で、日本の取引を進めたい
  • 日本で資本金を定めずに、早めに営業を始めたい
  • 日本の拠点を本社の一部として一体で管理したい

日本法人(子会社)が向いているケース

  • 日本での責任を本社から切り離したい
  • 取引先、金融機関、採用の場面で、日本の会社として信用を得たい
  • 日本の事業を将来売却したり、日本で資金を調達したりする可能性がある
  • 実質的に日本だけで事業を行う計画である

支店を日本法人に組織変更する手続きはありません。移行するには、日本法人を設立して支店の事業を譲り受けます。契約や雇用の切り替えも必要になるため、最初の選択が後の手間に影響します。

営業を始める前の市場調査が目的であれば、登記をしない駐在員事務所という選択肢もあります。

まとめ

日本支店は本社と同じ法人で、資本金を定めずに始められます。一方、日本での責任は本社が負い、日本における代表者のうち1名以上は日本に住所が必要です。日本法人は別法人として責任を分けられ、日本の会社として信用を得やすい形態です。

TIMOAは、提携する司法書士、行政書士、税理士とともに、形態の比較検討から外国会社の登記・会社設立、外為法の手続き、設立後の税務までを一貫して支援します。日本進出・会社設立の支援内容もご覧ください。

よくある質問

日本支店を出すのに資本金は必要ですか?

日本支店は本社と同じ法人の一部のため、日本で資本金を定める必要はありません。営業所設置の登記には登録免許税(9万円)がかかります。

日本における代表者は外国に住んでいてもよいですか?

日本における代表者のうち1名以上は、日本に住所を有する人である必要があります(会社法817条)。全員が海外在住では外国会社の登記はできません。

日本支店を後から日本法人に変更できますか?

支店をそのまま日本法人に組織変更する手続きはありません。日本法人を新たに設立し、支店の事業を譲り受ける形になります。

子会社から親会社への配当に税金はかかりますか?

原則として所得税・復興特別所得税(20.42%)が源泉徴収されます。本国との租税条約により税率が軽減される場合があります。

参考・出典

  1. 法務省 外国会社の登記を忘れていませんか? www.moj.go.jp
  2. 法務省 外国人・海外居住者の方の商業・法人登記の手続について www.moj.go.jp
  3. 国税庁 平成26年度法人税関係法令の改正の概要(外国法人課税) www.nta.go.jp
  4. 財務省 外国投資家による投資について lfb.mof.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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