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消費税の免税事業者の判定|新設法人・外国企業が注意すべき納税義務

消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら原則として免税です。ただし新設法人は、資本金や親会社グループの規模、特定期間の売上と給与によって、設立直後から課税事業者になることがあります。外国企業が注意すべき判定の順番と届出を解説します。

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TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

消費税は、基準期間(法人は原則として前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として納税義務が免除されます。ただし新設法人は、資本金1,000万円以上の場合や、大規模な会社グループに支配されている場合は、設立1期目から課税事業者です。特定期間の売上と給与や、高額な資産の購入によっても免税にならないことがあります。

消費税の納税義務と免税事業者の基本

消費税を申告・納付する事業者を課税事業者、納税義務が免除される事業者を免税事業者といいます。免税事業者は、消費税の申告をする必要がありません。

基準期間と課税売上高

  • 基準期間:法人は原則として、その事業年度の前々事業年度です。前々事業年度が1年未満の場合は、一定の調整を行います。
  • 課税売上高:消費税がかかる国内の売上に、輸出などの免税売上を加え、返品や値引きを差し引いた額です。原則として税抜きで計算します。
  • 免税の基準:基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら、原則として免税事業者になります。

基準期間に免税事業者だった場合は、その期間の売上に消費税が含まれていないため、受け取った金額のまま判定します。

設立直後は基準期間がない

設立1期目と2期目には、前々事業年度がありません。つまり基準期間がないため、原則として免税事業者です。ただし、次の章で説明する特例に当たると、設立直後から課税事業者になります。

免税事業者にならない主なケース

判定は、課税期間ごとに行います。主なケースを表にまとめます。

ケース 判定の基準 課税事業者になる期間
基準期間の売上 基準期間の課税売上高が1,000万円超 その課税期間
特定期間の売上と給与 特定期間の課税売上高と給与等の支払額がともに1,000万円超 その課税期間
新設法人 事業年度開始の日の資本金が1,000万円以上 基準期間がない事業年度(原則1期目・2期目)
特定新規設立法人 資本金1,000万円未満でも、大規模な会社グループに支配されている 基準期間がない事業年度
高額特定資産の取得 税抜1,000万円以上の棚卸資産・固定資産を一般課税の期間に取得 取得した課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間まで
課税事業者の選択 課税事業者選択届出書を提出 原則として2年間は継続

特定期間による判定

特定期間は、法人の場合、原則として前事業年度の開始の日から6か月の期間です。基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。

ただし、課税売上高に代えて、特定期間の給与等の支払額で判定することもできます。給与等の支払額が1,000万円以下なら、免税事業者のままでいられます。設立1期目が短い場合などは、特定期間の考え方が変わるため、事業年度の設定とあわせて確認します。

新設法人(資本金1,000万円以上)

基準期間がない事業年度の開始の日に、資本金が1,000万円以上ある法人は、その事業年度は課税事業者です。設立時に1,000万円以上なら、1期目と2期目はいずれも課税事業者になります。3期目以降は、基準期間の課税売上高などで判定します。

特定新規設立法人(大規模グループの子会社)

資本金1,000万円未満でも、次のすべてに当たる新設法人は、基準期間がない事業年度は課税事業者です。

  • 他の者に、発行済株式等の50%超を直接・間接に保有されるなど、支配されている
  • その他の者や、その特殊な関係にある法人の、基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円を超える

2024年10月1日以後に始まる課税期間からは、課税売上高5億円超に加えて、グループの全世界の収入金額等の合計が50億円を超える場合も対象になりました。日本での売上がなくても、海外の親会社グループの規模で判定される点に注意が必要です。

外国法人・外国企業の子会社が注意すべき点

令和6年度の税制改正で、国外事業者に関する判定が見直されました。いずれも2024年10月1日以後に始まる課税期間から適用されています。

  • 特定期間の給与による判定の除外:国外事業者(外国法人と、非居住者の個人事業者)は、特定期間の判定を給与等の支払額で行えなくなりました。
  • 日本で事業を始めた外国法人:基準期間がある外国法人でも、基準期間の末日の翌日以後に国内で事業を始めた場合は、その事業年度は基準期間がないものとみなされます。国内で事業を始めた時点の資本金が1,000万円以上なら、新設法人として課税事業者になります。
  • 特定新規設立法人の判定:前の章のとおり、全世界の収入金額等による基準が加わりました。

資本金の大きい外国法人が日本支店を開設した場合は、多くのケースで開始当初から課税事業者になります。支店と子会社の違いは、日本支店と日本法人(子会社)の違いで比較しています。

高額な資産を購入したときの特例

課税事業者の期間に高額な資産を購入すると、その後しばらく免税事業者に戻れなくなる特例があります。

  • 高額特定資産:一の取引単位の税抜価格が1,000万円以上の棚卸資産や調整対象固定資産を、簡易課税などを使わない課税期間に取得した場合が対象です。取得した課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間まで、免税事業者になれません。
  • 新設法人の調整対象固定資産:新設法人や特定新規設立法人が、基準期間がない課税期間に税抜100万円以上の固定資産などを取得し、一般課税で申告した場合も同様です。この間は簡易課税制度も選択できません。

不動産や大型設備を購入する計画がある場合は、購入の時期と消費税の判定をあわせて検討します。

判定でよくある誤り

  • 資本金を1,000万円未満にしただけで、2期目まで必ず免税になると考えてしまう
  • 特定期間(1期目の前半6か月)の売上と給与の確認を忘れる
  • 海外の親会社グループの規模を確認しないまま、特定新規設立法人に当たらないと判断する
  • 課税事業者選択届出書を出した後、2年間は免税に戻れないことを見落とす

判定の根拠となる数字は、決算書や給与の支払記録から確認できるように残しておきます。制度の詳細や最新の改正は、国税庁のタックスアンサーや改正のお知らせで確認します。

免税事業者でいるか、課税事業者を選ぶか

免税事業者でいれば、消費税の申告と納付は不要です。一方で、次のような不利な点もあります。

  • インボイスを発行できない:取引先が仕入税額控除を受けにくくなり、価格や取引条件の見直しを求められることがあります。
  • 還付を受けられない:輸出が中心の事業や、設備投資で支払う消費税が多い期間でも、還付は受けられません。

課税事業者を選ぶには、課税事業者選択届出書を、原則として適用を受けたい課税期間の初日の前日までに提出します。設立1期目から選ぶ場合は、その課税期間中に提出すれば足ります。選択すると、原則として2年間は免税事業者に戻れません。

インボイス登録の判断と、2026年9月30日を含む課税期間までとされていた2割特例などの経過措置は、インボイス制度と外国企業で解説しています。

課税事業者になったときの届出

届出書 提出が必要な場合 期限
消費税課税事業者届出書(基準期間用・特定期間用) 基準期間または特定期間の判定で課税事業者になった 速やかに
消費税の新設法人に該当する旨の届出書 資本金1,000万円以上の新設法人 速やかに(法人設立届出書に記載すれば不要)
消費税の特定新規設立法人に該当する旨の届出書 特定新規設立法人に当たる 速やかに
消費税課税事業者選択届出書 任意で課税事業者を選ぶ 原則として適用を受けたい課税期間の初日の前日まで

設立後のほかの届出は、会社設立後の届出一覧と期限にまとめています。

消費税の免税判定のまとめ

消費税の免税判定は、売上だけでなく、資本金、親会社グループの規模、特定期間の給与、資産の購入によって変わります。外国企業の日本法人や日本支店は、2024年10月からのルール見直しで、設立直後から課税事業者になる場面が増えました。資本金と事業年度を決める前に、判定を済ませておくことが大切です。

TIMOAは、提携する税理士とともに、設立前の資本金と事業年度の設計、消費税の判定と届出、インボイス登録の判断、設立後の申告まで支援します。詳しくは会計・税務・労務のサービスをご覧ください。

よくある質問

資本金を1,000万円未満にすれば、設立後2年間は必ず免税になりますか?

必ずではありません。大規模な会社グループに支配されている場合や、1期目の前半6か月の売上と給与が1,000万円を超えた場合などは、課税事業者になります。

免税事業者でも、輸出の消費税の還付を受けられますか?

受けられません。還付を受けるには課税事業者であることが必要です。輸出が中心の事業や設備投資が大きい事業は、課税事業者を選ぶことも検討します。

外国法人が日本支店を開設した場合も、免税事業者になれますか?

2024年10月1日以後に始まる課税期間からは、国内で事業を始めた時点の資本金などで新設法人の特例を判定します。資本金1,000万円以上の外国法人は、原則として開始当初から課税事業者です。

課税事業者に該当したら、どの届出が必要ですか?

該当の理由に応じて、課税事業者届出書や新設法人に該当する旨の届出書などを速やかに提出します。資本金1,000万円以上の新設法人は、法人設立届出書にその旨を記載すれば別の届出は不要です。

参考・出典

  1. 国税庁 No.6501 納税義務の免除 www.nta.go.jp
  2. 国税庁 No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例 www.nta.go.jp
  3. 国税庁 No.6502 高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除等の特例 www.nta.go.jp
  4. 国税庁 消費税法等改正のお知らせ(令和6年度改正) www.nta.go.jp
  5. 財務省 令和6年度税制改正の大綱 www.mof.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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