不動産

外国企業のオフィス賃貸|入居審査・保証・契約書で注意すべき点

外国企業や設立したばかりの日本法人は、実績がないためオフィスの入居審査で追加の保証を求められがちです。審査で見られる点と書類、保証の方法、普通借家と定期借家の違い、原状回復や解約の条項、ビザや登記との関係まで、契約前に確認したい点を解説します。

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執筆
TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

外国企業がオフィスを借りるときは、貸主や管理会社による入居審査を受けます。設立したばかりの日本法人は決算の実績がないため、親会社の資料や保証、保証会社の利用、保証金の上乗せなどを求められることがあります。契約では、普通借家か定期借家か、原状回復と解約予告の条件を必ず確認します。

オフィス賃貸の流れ

段階 主な内容 注意点
1. 条件の整理 面積、エリア、予算、入居時期を決める 登記やビザ申請で使う住所になるかを確認する
2. 物件探し・内見 仲介業者を通じて候補を絞る 事務所として使えるか、用途の制限を確認する
3. 入居申込み 申込書と会社の資料を出す 翻訳や補足の説明を用意する
4. 入居審査 貸主、管理会社、保証会社が審査する 期間は物件や貸主によって異なる
5. 重要事項説明・契約 宅地建物取引士の説明を受けて契約する 訳文を用意し、条項の意味を確認する
6. 支払い・引渡し 保証金や前払賃料を払い、鍵を受け取る 内装工事の範囲と費用の負担を先に決める

日本での会社設立と並行して進める場合は、会社が成立する前に契約が必要になることがあります。この場合の名義の扱いは、後の章で説明します。

入居審査で見られる点と必要書類

審査では、賃料を払い続けられるか、事業の内容に問題がないか、反社会的勢力と関係がないかなどが確認されます。外国企業は日本での実績がないことが審査上の弱点になりやすいため、資料で補います。

書類 確認される点 外国企業での補い方
登記事項証明書 法人の存在と役員 設立前は、親会社の登記書類と設立の計画で説明する
決算書 支払能力 新設法人は、親会社の決算書に訳文を付けて出す
会社案内・事業計画 事業の内容と賃料負担の妥当性 日本での事業内容、人員、資金の計画を示す
代表者の本人確認書類 代表者の確認 旅券、在留カードなど
保証に関する書類 保証の内容 連帯保証人、親会社保証、保証会社の書類

外国語の書類には、日本語の訳文を付けると審査が進みやすくなります。資本金の額や資金の出所を聞かれることもあるため、説明できるようにしておきます。日本に担当者がいない場合は、連絡の窓口を誰にするかも決めておきます。

保証の方法:連帯保証人・保証会社・親会社保証

事業用の賃貸借では、賃料の滞納や原状回復の費用に備えて、保証を求められるのが一般的です。主な方法は次のとおりです。

  • 代表者個人による連帯保証
  • 親会社による保証(保証状や連帯保証の契約)
  • 賃料保証会社の利用(保証料がかかる)
  • 保証金の増額や、賃料の前払い

保証会社を使う場合は、保証会社自身の審査もあります。契約時の保証料に加えて、更新時にも料金がかかることがあります。保証の範囲が賃料の何か月分までか、原状回復の費用を含むかも確認します。

2020年4月の民法改正による保証のルール

2020年4月1日に施行された改正民法により、個人が賃貸借の保証人になる場合のルールが変わりました。

  • 個人が借主の一切の債務を保証する根保証契約は、保証の上限額(極度額)を定めなければ無効です。
  • 事業のために負担する債務の保証を個人に頼むときは、借主は自社の財産や収支の状況などを保証人に説明する必要があります。
  • 借主の委託を受けた保証人は、貸主に支払の状況を問い合わせることができます。

代表者が海外に住んでいる場合や、日本で収入がない場合は、個人の保証が認められないことがあります。親会社保証や保証会社の利用を早めに相談します。親会社が保証する場合は、本国の社内承認の手続や、保証状の言語と準拠法も確認します。

普通借家と定期借家の違いと主な条項

項目 普通借家契約 定期借家契約
契約の更新 原則として更新される。貸主が更新を拒むには正当事由が必要 更新がなく、期間の満了で終了する。続けるには再契約が必要
契約の方式 書面で結ぶのが通常 書面(電磁的記録を含む)が必要。更新がない旨を、契約の前に書面で説明する
中途解約 契約の解約条項による 事業用では、解約条項がなければ原則できない

オフィスでは定期借家契約も多く使われます。期間が満了した後に再契約できるかは貸主の判断によるため、長く使う予定であれば、再契約の考え方を契約前に確認します。

契約前に確認したい条項

  • 原状回復:民法では、通常の使用による損耗や経年変化は、借主の原状回復義務に含まれないのが原則です。事業用の契約では、特約で入居時の状態に戻す義務を借主に課すことが多く見られます。範囲と費用の負担を確認します。
  • 敷金・保証金:退去時に、未払いの賃料などを差し引いて返還されます。返還しない部分(償却)の定めがあるか確認します。
  • 解約予告:解約の何か月前に通知が必要か。予告期間の賃料は負担が続きます。
  • 賃料の改定:見直しの時期と方法
  • 使用目的と転貸:事業目的での使用、グループ会社との共同使用、看板の設置が認められるか
  • 内装工事:工事の区分、貸主の承認、指定業者の有無
  • 反社会的勢力の排除:多くの契約に条項があり、違反すると解除の対象になります。

契約書は日本語が正本となることが一般的です。訳文を作る場合も、日本語版の条項で判断します。

会社設立・ビザ・銀行口座との関係

オフィスの住所は、登記、在留資格の申請、銀行口座の開設などで使われます。契約の名義と使用目的を、これらの手続に合わせて整えます。

  • 設立前の契約:会社の成立前は、発起人や代表予定者の個人名義、または親会社名義で契約し、設立後に日本法人の名義へ変更することがあります。名義の変更や法人での使用を貸主が認めるか、事前に確認します。
  • 経営・管理ビザ:事業を行うための事業所の確保が求められます。契約の名義、事業用の使用目的、独立した区画かどうかなどが確認されることがあります。申請の書類は経営・管理ビザの申請書類と審査期間で解説しています。
  • バーチャルオフィスやシェアオフィス:登記はできても、ビザや口座の審査で事業の実態を説明しにくい場合があります。詳しくはバーチャルオフィス・シェアオフィスで登記できるかをご覧ください。
  • 銀行口座:法人口座の審査では、事業所の実在や契約書の写しを確認されることがあります。準備の全体は外国人経営者の法人口座開設にまとめています。

駐在員事務所は法人格がないため、契約は外国本社や代表者の名義になります。また、本店の所在地を後で移すと、移転の登記と登録免許税が必要です。最初の物件を長く使えるかも考えて選びます。

初期費用と税金

費用 内容
保証金(敷金) 賃料の滞納や原状回復に充てる預け金。住宅より高く設定されるのが一般的
前払賃料 入居する月の賃料などを契約時に前払いすることが多い
仲介手数料 宅地建物取引業法で上限があり、貸主と借主から受け取る合計は賃料の1か月分(消費税別)以内
保証会社の保証料 保証会社を利用する場合にかかる
内装工事費・保険料 入居時の工事や、火災保険などへの加入

事務所の賃料には消費税がかかります。住宅の賃料は非課税なので、扱いが異なります。一方、建物の賃貸借契約書は印紙税の課税文書に当たらないため、印紙は不要です。土地の賃借権の設定に関する契約書は課税されます。

TIMOAにできること

外国企業のオフィス賃貸は、審査の書類、保証の方法、契約の条項に加えて、登記・ビザ・口座の手続との整合が欠かせません。物件を決める前に、会社設立やビザ申請の順番と合わせて計画すると、手戻りを防げます。

TIMOAは、提携する宅地建物取引業者、司法書士、行政書士と連携し、物件探しの条件整理、審査書類の準備と翻訳、契約条項の確認(必要に応じて弁護士と連携)、設立・ビザ手続との調整を支援します。サービスの詳細は不動産サービスをご覧ください。

よくある質問

日本法人を設立する前にオフィスを契約できますか?

発起人や代表予定者の個人名義、または親会社名義で契約し、設立後に日本法人へ名義を変更する方法があります。名義変更や法人での使用を認めるかは貸主によるため、事前に確認します。

代表者が海外に住んでいても連帯保証人になれますか?

貸主や保証会社の判断によります。認められない場合は、親会社による保証、保証会社の利用、保証金の増額などで対応することが多いです。

定期借家契約は途中で解約できますか?

事業用の定期借家契約では、中途解約の条項がなければ、原則として期間の途中で解約できません。契約前に条項を確認します。

オフィスの賃貸借契約書に収入印紙は必要ですか?

建物の賃貸借契約書は印紙税の課税文書に当たらないため、印紙は不要です。土地の賃借権の設定に関する契約書は課税されます。

参考・出典

  1. 法務省 2020年4月1日から保証に関する民法のルールが大きく変わります www.moj.go.jp
  2. 法務省 2020年4月1日から賃貸借契約に関する民法のルールが変わります www.moj.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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