2026年10月1日時点の制度に基づいています。
建設業を営むには、軽微な建設工事だけを請け負う場合を除き、建設業法第3条の許可が必要です。許可を受けるには、経営体制、技術者、社会保険、財産的基礎などの要件を満たします。外国資本の会社も同じ要件で審査され、海外での経験を使う場合は国土交通大臣の認定が必要になります。
建設業許可が必要になる工事
許可が要らないのは、「軽微な建設工事」だけを請け負う場合です。金額は消費税を含めて判断します。
| 工事の種類 | 許可が不要な範囲(軽微な建設工事) |
|---|---|
| 建築一式工事 | 1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅の工事 |
| 建築一式工事以外 | 1件の請負代金が500万円未満の工事 |
- 許可を逃れる目的で契約を分けても、合計額で判断されます。
- 注文者が材料を提供する場合は、その価格も請負代金に含めて判断します。
- 許可が不要な工事だけを請け負う場合でも、請負契約の内容を書面にする義務(第19条)など、建設業法の一部の規定は適用されます。
許可は工事の種類ごとに、29の業種に分かれています。土木一式と建築一式の2つの一式工事と、27の専門工事です。請け負う工事に合った業種を選んで取得します。
知事許可と大臣許可、一般建設業と特定建設業の違い
営業所の場所で決まる許可行政庁
- 都道府県知事許可:営業所が1つの都道府県内だけにある場合
- 国土交通大臣許可:2つ以上の都道府県に営業所がある場合
区分は営業所の所在地で決まります。工事を行う場所は制限されないため、知事許可でも他県の工事を請け負えます。
下請に出す金額で決まる一般と特定
元請として受けた工事で、下請に出す代金の合計が大きい場合は「特定建設業」の許可が必要です。2025年2月1日の政令改正で、この基準額は5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)に引き上げられました。それ以外は「一般建設業」の許可で足ります。
建設業許可の要件
許可の要件は次の5つです。あわせて、会社や役員が欠格要件に当たらないことが必要です。
| 要件 | 主な内容 |
|---|---|
| 経営業務の管理体制 | 常勤役員等のうち1人が建設業に関して5年以上の経営経験を持つなど、経営業務を適正に管理できる体制があること |
| 適切な社会保険への加入 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険に法令どおり加入していること(2020年10月から許可要件) |
| 営業所技術者等 | 営業所ごとに、資格または実務経験のある技術者を常勤で置くこと |
| 誠実性 | 請負契約について、不正または不誠実な行為をするおそれがないこと |
| 財産的基礎 | 一般:自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力など。特定:資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上、流動比率75%以上、欠損が資本金の20%以下 |
経営業務の管理体制(常勤役員等)
2020年10月の改正で、経営経験のある1人に頼らない方法も認められました。一定の経験を持つ常勤役員等に、財務管理・労務管理・業務運営の経験が5年以上ある補佐者を組み合わせる体制です。どの方法でも、経験を契約書や登記などの書類で証明する必要があります。設立したばかりの会社では、役員個人が過去に別の会社で積んだ経験を使うことになるため、その会社から証明書類を得られるかを早めに確認します。
営業所技術者等
以前は「専任技術者」と呼ばれていました。2024年12月13日の改正法施行で「営業所技術者等」に呼び名が変わりましたが、要件自体は変わっていません。施工管理技士などの国家資格を持つ人か、業種ごとに定められた年数の実務経験を持つ人が対象です。実務経験だけで認められるには、原則として10年以上が必要です。指定学科を卒業していれば、高校卒業後5年以上、大学卒業後3年以上に短縮されます。
財産的基礎
一般建設業では、残高証明書などで500万円以上の資金を確認されることがあります。特定建設業は申請直前の決算で判断され、5年ごとの更新時にも審査されます。
営業所の実体
営業所とは、請負契約の見積りや締結を常時行う事務所です。机や電話などの設備があり、他の会社や住居部分と区分されていることを確認されます。写真や賃貸借契約書の提出を求められるのが一般的です。
欠格要件
会社、役員、支店長などの使用人が次に当たると、許可を受けられません。申請書に虚偽の記載がある場合も同じです。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない
- 建設業許可を取り消されてから5年を経過していない
- 拘禁刑以上の刑(2025年5月までの懲役・禁錮を含む)に処せられ、その執行を終えるなどしてから5年を経過していない
- 暴力団員等である、または暴力団員等に事業活動を支配されている
外国資本の会社・外国人経営者が注意すべき点
海外での経験は国土交通大臣の認定が必要
経営体制や技術者の要件は、日本国内での経験・学歴・資格を前提にしています。外国での経験や学歴を使う場合は、国土交通大臣の認定を受けます。認定は国土交通省が個別に審査し、対象者の国籍や、経験を積んだ企業が日本企業か外国企業かは問われません。外国語の書類には訳文が必要です。証明書類の収集と翻訳に時間がかかるため、早めに準備します。
役員と技術者には「常勤」が求められる
常勤役員等や営業所技術者等は、営業所に常勤していることが要件です。海外に住む親会社の役員を名目上置くだけでは、要件を満たしません。日本に住み、日々の業務に従事できる人を確保します。外国籍の役員や技術者が日本で働く場合は、活動に合った在留資格も必要です。
書類と社内体制の準備
- 定款と登記の事業目的に、建設業を入れておきます。書き方は定款の事業目的の書き方で解説しています。
- 社会保険への加入は許可要件です。設立直後から手続きを済ませます。対象者と期限は社会保険・労働保険の加入義務を参照してください。
- 外国籍の役員がいる場合、欠格要件の確認に日本の書類に代わる証明書や翻訳を求められることがあります。事前に許可行政庁へ確認します。
外国人材を現場で受け入れる場合
特定技能「建設」で外国人を受け入れるには、建設業許可を受けていることが前提です。さらに、受入れ計画について国土交通大臣の認定を受けるなど、建設分野独自の手続きがあります。全体像は特定技能の受け入れ要件をご覧ください。
建設業許可申請の流れと更新
- 取得する業種と、知事許可・大臣許可、一般・特定の区分を決める
- 経営体制、技術者、社会保険、財産的基礎の要件を確認する
- 経験を示す契約書や請求書、資格証、登記事項証明書、残高証明書などを集める
- 申請書を作成し、知事許可は都道府県、大臣許可は地方整備局などに提出する
- 審査を経て、許可の通知を受ける
申請には、知事許可では手数料、大臣許可では登録免許税がかかります。審査期間は行政庁によって異なります。
許可の有効期間は5年です。引き続き営業するには、満了日の30日前までに更新を申請します。期限内に申請していれば、満了後も処分が出るまで従前の許可が有効です。許可後は、毎事業年度の終了後4か月以内に決算の内容を届け出ます。役員や営業所技術者等が変わったときも、所定の期限内に変更の届出が必要です。営業所と工事現場には、許可を受けていることを示す標識を掲げます。要件を欠いたまま放置すると、許可の取消しにつながるおそれがあります。公共工事の入札に参加する場合は、経営事項審査も受けます。
TIMOAにできること
建設業許可は、工事の金額と業種で要否が決まり、経営体制、技術者、社会保険、財産の要件をそろえて申請します。外国資本の会社では、海外経験の大臣認定と、日本に常勤する役員・技術者の確保が大きな課題です。
TIMOAは、提携する行政書士・社会保険労務士と連携し、要件の確認、会社設立と事業目的の設計、社会保険の手続き、許可申請の準備を一貫して支援します。詳しくは許認可・金融ライセンスのページをご覧ください。
よくある質問
外国資本100%の会社でも建設業許可を取れますか?
取れます。国籍や資本の出所による制限はなく、日本の会社と同じ要件で審査されます。ただし、経営や技術の経験を海外で積んだ場合は、国土交通大臣の認定が別途必要です。
親会社の役員を名目上の常勤役員にできますか?
できません。常勤役員等や営業所技術者等は、営業所に常勤していることが要件です。海外に住み、日本の業務に日常的に従事しない人では要件を満たしません。
知事許可だと、他の都道府県で工事はできませんか?
できます。知事許可と大臣許可の違いは営業所の所在地によるもので、工事を行う場所は制限されません。
許可の有効期間はどのくらいですか?
5年です。引き続き営業する場合は、有効期間が満了する日の30日前までに更新の申請をします。
参考・出典
- 国土交通省 建設業に関する外国での経験等を有する者の認定について(大臣認定) www.mlit.go.jp
- 国土交通省 建設業許可事務ガイドライン(PDF) www.mlit.go.jp
- 国土交通省近畿地方整備局 建設業許可申請の手引き(令和8年3月) www.kkr.mlit.go.jp
- 国土交通省近畿地方整備局 建設業の許可申請・変更手続について www.kkr.mlit.go.jp