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外国人の相続税・贈与税|納税義務者の4区分と10年ルールを解説

日本の相続税・贈与税は、相続人と亡くなった人の住所、国籍、在留資格、過去の日本での居住期間によって、課税される財産の範囲が変わります。4つの納税義務者区分、一時居住者と10年ルール、基礎控除、申告の注意点を外国人向けに解説します。

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執筆
TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

日本の相続税・贈与税は、財産を受け取る人と渡す人の住所、国籍、在留資格、過去の日本での居住期間によって、国外財産まで課税されるかどうかが決まります。経営・管理などの在留資格で日本に住む外国人が亡くなった場合、海外に住む外国籍の相続人には、原則として日本国内の財産だけに相続税がかかります。一方、永住者などは扱いが異なるため、個別の確認が欠かせません。

相続税の納税義務者は4区分:課税される財産の範囲

区分 相続人の住所(財産取得時) 課税される財産
居住無制限納税義務者 日本国内にある 国内・国外のすべての財産
非居住無制限納税義務者 日本国内にない 国内・国外のすべての財産
居住制限納税義務者 日本国内にある 国内にある財産のみ
非居住制限納税義務者 日本国内にない 国内にある財産のみ

「無制限」か「制限」かは、相続人の国籍や在留資格、被相続人(亡くなった人)の状況、それぞれの過去の居住歴で決まります。判定の詳細は、国税庁のタックスアンサー「相続人が外国に居住しているとき」で最新の内容を確認できます。

判定に使う3つのキーワード

一時居住者(相続人の側)

相続開始の時に出入国管理及び難民認定法の別表第一の在留資格を持ち、相続開始前15年以内に日本に住所があった期間の合計が10年以下の人です。経営・管理、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、高度専門職などは別表第一の在留資格です。

外国人被相続人(亡くなった人の側)

相続開始の時に別表第一の在留資格を持ち、かつ日本に住所があった人です。2021年度(令和3年度)の税制改正で、日本での居住期間の要件はなくなりました。在留期間が長くても、別表第一の在留資格であれば該当します。

非居住被相続人(亡くなった人の側)

相続開始の時に日本に住所がなかった人のうち、相続開始前10年以内に日本に住所があったことがあるものの、その間ずっと日本国籍がなかった人、または10年以内に日本に住所がなかった人です。

注意したいのは、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者は、入管法の別表第二の在留資格だという点です。これらの在留資格の人は、一時居住者や外国人被相続人には当たりません。永住許可を検討する際は、永住許可の要件とあわせて、相続税の扱いの変化も確認しておきます。

ケース別:国外財産まで課税されるか

ケース 相続人の区分 課税範囲
日本に住む外国人(別表第一)が死亡。相続人は日本に住む外国籍の配偶者で、一時居住者に当たる 居住制限納税義務者 国内財産のみ
日本に住む外国人(別表第一)が死亡。相続人は日本に住む外国籍の子で、過去15年のうち日本の住所が10年を超える 居住無制限納税義務者 国内・国外のすべて
日本に住む外国人(別表第一)が死亡。相続人は海外に住む外国籍の子 非居住制限納税義務者 国内財産のみ
日本に住む永住者が死亡。相続人は海外に住む外国籍の子 非居住無制限納税義務者 国内・国外のすべて
日本に住む外国人(別表第一)が死亡。相続人は日本に住む日本国籍の子 居住無制限納税義務者 国内・国外のすべて
海外に住む外国人(10年以内に日本の住所なし)が死亡。相続人は海外に住む外国籍の子 非居住制限納税義務者 国内財産のみ

海外に住む日本国籍の相続人は、相続開始前10年以内に日本に住所があれば、国外財産も課税されます(非居住無制限納税義務者)。10年以内に日本に住所がなくても、被相続人が外国人被相続人や非居住被相続人に当たらない場合は、同じく国外財産まで課税されます。これが一般に「10年ルール」と呼ばれる考え方です。

表は典型例です。実際の判定では、相続開始時の住所の認定や、在留資格の切り替え時期なども影響します。

在留資格や国籍が変わるときは事前に確認する

別表第一の在留資格から永住者に変わると、本人は外国人被相続人に当たらなくなります。日本に帰化して日本国籍を取得した場合も、在留資格を前提とする一時居住者などの扱いは使えません。いずれも在留の安定や手続の面では大きな利点がありますが、相続税・贈与税の課税範囲は広がる可能性があります。海外に多くの資産を持つ方は、切り替えの前に、家族全員の住所と国籍を前提に課税範囲を試算しておくと安心です。

贈与税も同じ考え方で判定する

贈与税の納税義務者も、相続税と同じように、受贈者(もらう人)と贈与者(あげる人)の住所、国籍、在留資格、居住歴で判定します。贈与税の一時居住者は、贈与の時に別表第一の在留資格を持ち、贈与前15年以内に日本に住所があった期間の合計が10年以下の人です。

  • 日本に住所がない人が贈与を受けた場合、課税範囲が国内財産だけになることがあります。
  • 留学や短期の海外勤務などで一時的に国外にいる人は、一定の場合、日本に住所があるものとして扱われます。
  • 暦年課税の基礎控除は年110万円です。1年間(1月1日から12月31日)にもらった財産の合計が110万円を超えると、原則として申告が必要です。

例えば、日本に住む一時居住者の子が、海外に住む外国籍の親(10年以内に日本に住所がない)から国外の財産をもらう場合、一般的には日本の贈与税はかかりません。ただし、子の日本での居住期間が15年以内で合計10年を超えると一時居住者に当たらなくなり、国外財産の贈与も課税対象になります。

贈与の判定表は細かく分かれています。国税庁のタックスアンサー「受贈者が外国に居住しているとき」で確認するか、税理士に相談してください。

相続税の基礎控除と計算の流れ

相続税は、遺産の総額が基礎控除額を超える場合にかかります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。法定相続人が配偶者と子2人の3人であれば、4,800万円になります。

  1. 課税価格(相続財産から債務・葬式費用などを差し引き、一定の贈与財産を加えた額)を計算する
  2. 基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を求める
  3. 法定相続分で分けたと仮定して税率を当て、相続税の総額を出す
  4. 実際の取得割合で各人に配分し、税額控除などを反映する

亡くなる前の一定期間に受けた暦年課税の贈与は、相続財産に加算されます。2024年1月1日以後の贈与から、この加算期間は3年から7年へ段階的に延びています。相続開始が2027年1月1日以後になると2024年1月1日以後の贈与が順次対象に加わり、2031年1月1日以後の相続開始では7年分が対象です。

申告と納税の注意点

  • 申告期限:相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。遺産分割がまとまっていなくても、期限は延びません。
  • 納税管理人:日本に住所がない相続人・受贈者は、納税管理人を定めて届け出たうえで、申告・納税します。
  • 海外の資料:国外財産の評価資料、身分関係を証明する外国の書類、その翻訳などの準備には時間がかかります。
  • 外国でも課税される場合:同じ財産に外国の相続税などがかかった場合、要件を満たせば外国税額控除を受けられることがあります。

日本の不動産を持つ外国人の方は、取得の段階から相続を見据えた名義や資金の設計が有効です。外国人が日本で不動産を買う流れと注意点もあわせてご覧ください。また、所得税の居住者判定は相続税とは基準が異なります。日本の税務上の居住者・非居住者の判定も参考にしてください。

TIMOAにできること

外国人が関わる相続・贈与では、在留資格が別表第一か別表第二か、日本での居住期間、亡くなった人と相続人それぞれの住所によって、課税範囲が大きく変わります。判定は財産を移す前に行うことが重要です。

TIMOAは、提携する税理士・司法書士・弁護士とともに、課税範囲の判定、相続税・贈与税の申告、海外書類の取得・翻訳、日本の不動産や会社株式の承継をサポートします。詳しくは富裕層向けサービスのページをご覧ください。

よくある質問

経営・管理ビザで日本に住む外国人が亡くなると、海外の財産にも相続税がかかりますか?

外国人被相続人に当たるため、海外に住む外国籍の相続人や一時居住者の相続人には、原則として日本国内の財産だけが課税されます。ただし、日本国籍の相続人や日本での居住期間が長い相続人は、国外財産も課税されることがあります。

永住者になると相続税の扱いは変わりますか?

永住者は入管法の別表第二の在留資格のため、外国人被相続人や一時居住者には当たりません。そのため、国外財産まで課税範囲に入る場合があります。

海外に住んでいる相続人も日本で申告が必要ですか?

日本の相続税の課税対象となる財産を取得し、課税価格の合計が基礎控除額を超える場合などは申告が必要です。日本に住所がない場合は、納税管理人を定めて申告・納税します。

相続税の基礎控除はいくらですか?

3,000万円+600万円×法定相続人の数です。法定相続人が3人なら4,800万円になります。

参考・出典

  1. 国税庁 No.4138 相続人が外国に居住しているとき www.nta.go.jp
  2. 国税庁 No.4432 受贈者が外国に居住しているとき www.nta.go.jp
  3. 国税庁 No.4152 相続税の計算 www.nta.go.jp
  4. 国税庁 No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税) www.nta.go.jp
  5. 国税庁 No.4205 相続税の申告と納税 www.nta.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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