会計・税務・労務

青色申告の承認申請の期限とメリット|新設法人が第1期から使うには

法人が青色申告をするには、税務署に承認申請書を出します。新設法人の期限は、設立の日以後3か月を経過した日と第1期の終了日のいずれか早い日の前日です。期限を過ぎると第1期の赤字を繰り越せないため、設立直後に提出します。

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TIMOA編集部
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2026年10月1日時点の制度に基づいています。

法人が青色申告をするには、納税地の税務署に「青色申告の承認申請書」を提出し、承認を受けます。新設法人の期限は、設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日です。既存の法人は、青色申告をしたい事業年度の開始の日の前日が期限です。

青色申告と白色申告の違い

青色申告は、一定の帳簿を備えて記帳し、その帳簿に基づいて申告する法人に、税務上の特典を認める制度です。承認を受けていない法人の申告は、白色申告と呼ばれます。

項目 青色申告 白色申告
事前の手続 承認申請書の提出が必要 不要
欠損金の繰越控除 10年間繰り越せる 原則として使えない
欠損金の繰戻し還付 中小企業者等は使える 使えない
少額減価償却資産の特例など 要件を満たせば使える 使えない
帳簿 複式簿記による帳簿の備付け・保存 帳簿の備付け・保存は必要

設立直後の会社は、売上が立つ前に費用が先行し、赤字になりやすくなります。この赤字を将来の利益と相殺できるかどうかが、最も大きな違いです。

承認申請書の提出期限

区分 提出期限
新設法人(第1期から青色申告をする場合) 設立の日以後3か月を経過した日と、第1期の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日
既存の法人 青色申告をしようとする事業年度の開始の日の前日

新設法人の期限の具体例

  • 4月1日設立・3月決算:3か月を経過した日(7月1日)の方が早いため、期限は6月30日です。
  • 1月10日設立・3月決算:第1期の終了日(3月31日)の方が早いため、期限は3月30日です。

決算月を設立月の近くに設定すると、第1期が短くなり、期限も早く来ます。登記が終わったら、法人設立届出書と同時に提出するのが安全です。ほかの届出の期限は会社設立後の届出一覧と期限にまとめています。

申請書の記載事項と提出方法

申請書には、法人名、納税地、代表者、青色申告をしようとする事業年度のほか、参考事項として次の内容を記載します。

  • 帳簿組織の状況(使用する帳簿の名称、形態、記帳の時期)
  • 特別な記帳方法を採用しているかどうか
  • 税理士が関与している場合は、その関与の度合い

提出は書面でも、e-Taxでもできます。会計ソフトで記帳する場合は、その旨を帳簿の形態として記載します。

承認のみなし規定

期限内に申請すれば、税務署から通知がなくても、一定の日までに承認または却下の処分がない場合は、承認があったものとみなされます。却下されるのは、帳簿の備付けや記録に問題がある場合などです。

期限を過ぎてしまった場合

期限を過ぎると、その事業年度は白色申告になります。この場合も、次の事業年度の開始の日の前日までに申請すれば、翌期から青色申告ができます。たとえば3月決算の会社なら、翌期が始まる4月1日の前日である3月31日までに提出します。第1期を逃した場合は、すぐに翌期分の申請を準備します。

設立前に決めておきたいこと

  • 決算月:申請期限と、第1期の長さに影響します。
  • 記帳の方法:会計ソフトの選定と、誰が記帳するか。
  • 税理士の関与:申請書の参考事項にも記載します。

青色申告の主なメリット

欠損金の10年繰越控除

青色申告をした事業年度に生じた欠損金は、翌期以降10年間繰り越して、将来の所得から差し引けます。2018年4月1日前に開始した事業年度の欠損金は9年です。適用には、欠損金が生じた事業年度に青色申告書を出し、その後も連続して確定申告書を出していることが必要です。

差し引ける金額は、中小法人等なら所得の全額、それ以外の法人は所得の50%が上限です。

たとえば中小法人等が、第1期に800万円の赤字、第2期に500万円の所得を出した場合を考えます。第2期は繰り越した欠損金で所得が0円になり、残りの300万円は第3期以降に繰り越せます。第1期に青色申告の承認がなければ、第2期は500万円の所得に法人税がかかります。

欠損金の繰戻し還付

中小企業者等は、赤字の事業年度の欠損金を前1年以内に開始した事業年度に繰り戻し、納めた法人税の還付を請求できます。前期から連続して青色申告をしていること、赤字の期の申告書を期限内に出し、同時に還付請求書を出すことが要件です。

少額減価償却資産の特例など

中小企業者等は、取得価額が一定額未満の減価償却資産を、取得した期に全額損金にできます。令和8年度の税制改正で、2026年4月1日以後に取得する資産は、基準が30万円未満から40万円未満に引き上げられ、適用期限は2029年3月31日までの取得分に延長されました。合計額は年300万円が上限です。対象となる法人の従業員数の基準も見直されているため、適用する前に国税庁の改正の案内で要件を確認します。このほか、特別償却や税額控除の多くも青色申告が要件です。

帳簿調査に基づく更正

青色申告書に対する更正は、原則として帳簿書類を調査し、その調査で誤りがあると認められる場合に限られます。帳簿に基づいて申告していることが、税務上の手続でも尊重される仕組みです。その分、帳簿を正しく整えておくことが前提になります。

外資系の子会社の注意点

中小法人等や中小企業者等の判定は、資本金の額だけでは決まりません。資本金が1億円以下でも、資本金5億円以上の大法人の100%子会社などは中小法人等に当たらず、欠損金の控除上限が50%になり、繰戻し還付も原則として使えません。親会社の規模によって、使える特典が変わります。資本金と税務の関係は資本金の決め方と税金・ビザ・信用の関係で解説しています。

承認後に必要な帳簿と保存

青色申告の法人は、仕訳帳、総勘定元帳などの帳簿を備え、複式簿記の原則に従って取引を記録します。棚卸表、貸借対照表、損益計算書も作成します。

  • 帳簿と書類は、原則として7年間保存します。
  • 欠損金が生じた事業年度の帳簿は、繰越控除を使うために10年間の保存が必要です。
  • メールやウェブで受け取った請求書などの電子取引データは、電子データのまま保存します。

帳簿は紙で保存するほか、電子帳簿保存法の要件を満たせば、会計ソフトのデータのまま保存することもできます。

青色申告の承認が取り消される場合

承認を受けた後でも、次のような場合は承認が取り消されることがあります。

  • 帳簿の備付け、記録、保存が法令どおりに行われていない
  • 税務署の指示に従わない
  • 帳簿に取引を隠したり、仮装して記載したりしている
  • 2事業年度連続して、確定申告書を期限内に提出していない

取り消されると、その後の事業年度の申告は青色申告として扱われず、欠損金の繰越控除などが使えなくなります。とくに期限後申告が2期続くと取消しの対象になるため、申告期限の管理が欠かせません。期限と延長の手続は法人税の申告・納付期限と申告期限の延長で解説しています。

個人の青色申告との違い

個人事業主や、日本で不動産所得がある個人にも青色申告の制度があります。個人の申請期限は、原則として青色申告をしようとする年の3月15日まで、その年の1月16日以後に新しく業務を始めた場合は、開始の日から2か月以内です。法人とは期限の考え方が異なるため、混同しないよう注意します。

TIMOAにできること

青色申告の承認申請は、書類自体は簡単ですが、期限を過ぎると第1期の赤字を繰り越せません。設立登記の直後に、法人設立届出書とあわせて提出することが大切です。承認後は、帳簿の整備と期限内の申告を続けることで、特典を維持できます。

TIMOAは、提携する税理士とともに、設立直後の税務届出、記帳体制の整備、決算と申告までを一貫して支援します。サービスの内容は会計・税務・労務のページをご覧ください。

よくある質問

4月1日に設立した3月決算の会社の申請期限はいつですか?

設立の日以後3か月を経過した日(7月1日)の前日である6月30日です。第1期の終了日(翌年3月31日)より早いため、こちらが期限になります。

期限を過ぎてしまったらどうなりますか?

その事業年度は白色申告になり、その期の欠損金は繰り越せません。次の事業年度の開始の日の前日までに申請すれば、翌期から青色申告ができます。

承認の通知が届かない場合は?

期限内に申請していれば、一定の日までに承認または却下の処分がない場合、承認があったものとみなされます。

外国企業の100%子会社でも中小法人の特典を使えますか?

資本金が1億円以下でも、資本金5億円以上の大法人の100%子会社などは中小法人に当たらず、欠損金の控除限度額などで扱いが異なります。

参考・出典

  1. 国税庁 C1-19 青色申告書の承認の申請 www.nta.go.jp
  2. 国税庁 No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除 www.nta.go.jp
  3. 国税庁 No.5763 欠損金の繰戻しによる還付 www.nta.go.jp
  4. 国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 www.nta.go.jp
  5. 国税庁 法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針) www.nta.go.jp

執筆

TIMOA編集部

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律・税務上の助言ではありません。制度は改正されることがあるため、具体的なお手続きの前にご相談ください。

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